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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

永遠神剣之章:55.襲来、混戦。

 赤と白の守護者を退けた俺達は、散発的に立ち塞がるミニオンを倒しながら、ハイウェイを駆け抜け、遠めにシティへ続く壁を見る位置まで辿り着いた。


「見えたぞ! シティへ通じる門だ!」

 ようやくここまで来た、と言う感じの世刻の言葉に、そこへ向かう速度を上げ、一気に駆け抜けようとした、その時。
 ゾクリとしたその気配を感じ、それを発するものの位置を探る。
 ──上か!
 顔を振り上げたそこにあったのは、翼をはためかせ、眼下に居る俺達へ向けて大きく口を開けた、黒き守護者の姿──。

「上っ! ──敵襲! 散開!」

 俺の視線と、その後直ぐに叫びながらその場から飛び退った姿に、他の皆も上空の敵に気付いたか咄嗟にその場から離れるのが見えた、その直後。
 上空から降りそそぐ、黒きブレス。
 地面を抉り、爆砕した黒の奔流に続くように、それまで俺達が居た場所のど真ん中に地響きを立て、大地に落ちる様に着地する黒の守護者。

「グルァァァァアアアア!!!」

 守護者は大気を震わす咆哮を上げ、それに呼応するように、黒の守護者の更に向こうから、同じような咆哮が聞こえ、その直後に爆音や剣戟の音が響いて来る。
 もう一体……ってことは、残る緑の守護者、それに音からするに、ミニオン達も多数居るらしく、向こう側に退避した誰かと戦闘に入ったようだ。
 ってことは、こっちも……。
 そんな考えに応える様に、俺の背後に現れるミニオン達。そしてその壁に阻まれてか、見える範囲には仲間は居ない。
 孤立した……か。参ったな……けど、やるしかないか。何とか切り抜けて、せめて誰かと合流しないと。
 そう思った時だった。

 ──しゃん。

 どこかで聴いた鈴の音の様な音。
 その音が何かなんて、記憶を探るまでもなく出た結論に、俺は『観望』を片手剣にし、振り向き様に斬りつける!
 そこに有ったのは──。

「あら、いきなり斬りつけてくるなんて、酷いじゃない」
「はっ、いきなり背後から撃ち抜こうとするやつに言われたくないぜ。……久しぶりだな、エヴォリア!」

 俺の一撃を展開した障壁で受け止める、アラビア圏の踊り子風な衣装に身を包む、緑髪の女性だった。

「お前が居るってことは……この周りに居るのは、この世界のミニオンじゃなく、お前達のミニオンか?」
「さて、どうかしらね?」

 俺の問にはぐらかす様に答えるエヴォリア。だが、恐らく間違っていないだろう。守護者の襲撃に合わせて来るとは……予想通りと言えば予想通りだが、まったく、厄介な。
 とりあえず、以前エヴォリアを救えそうならば救う、と思ったんだが……それを今正面切って言うわけには行かない。肝心の南天神の亡霊が何処にいるか、まだ確認したわけではないからだ。恐らくは近くにいるだろう、とは思うが。
 そんな訳で、今は彼女と戦闘しながらそれを確認する他ないだろう。
 そう結論付けたところで、背筋にゾワリとした気配。
 直感に従い、エヴォリアを押しのけつつ後方へ跳ぶ。と、直前まで俺達が……正確に言えば、俺が居た場所に叩き込まれる、黒龍の拳。
 ……あのヤロウ、エヴォリアは無視かよ。

(……まあ、ミニオンもミニオンも同じ様な存在ですし、それと行動を共にしているエヴォリアがとりあえず放って置かれるのも、無理はないでしょう)
(それに、吾等は先程から明確に敵対しているからな。こちらを優先して狙うのは道理であろう)

 そんなナナシとレーメの念話に、だよなあと頷く。
 どちらにしろ、やるしかないんだが。……同時ってのは厄介すぎるぜ。とりあえず『観望』を構え直し──と、折角距離を空けたのだから、今のうちに確認しておくか。

(『観望』、頼む)
<……承知>

 その返事と共に、周囲の大気に粒子状の『観望』が広がるのを感じる。

<……居たぞ>

 その言葉に、『観望』が示す場所を、視線だけを向けて“視”れば…………見つけた。
 エヴォリアの上空10メートル程の辺りに、正しく亡霊の様な姿のマナの塊が一体。そこから更に20メートル程離れた所に三体。……間違いない、南天神だ。
 好都合な事に、この場に全員揃っている様だな。
 となると、この後の行動を考えるに……やはり邪魔になるのは、この守護者、か。
 エヴォリアと守護者の両方に注意を払いながら、さてどうしたもんかなと思った所で、ドンッと、ミニオン達の壁を破り、二人の人物が飛び出してきた。
 二人は激しく切り結びながら、対峙する俺とエヴォリア、守護者の丁度中間辺りで一度強くぶつかり合うと、互いに飛び退り、一人はエヴォリアの隣へ、もう一人は俺の隣へ着地する。
 俺の隣へ来たのは双剣の神剣『黎明』を構えた世刻。
 そしてエヴォリアの隣へ降り立ったのは、重厚な鎧に身を包む、重圧の武者──。

「…………ここでよりによってベルバルザードの合流かよ……」

 俺のぼやきに世刻が何かを返そうとしたその時、二人の登場を切欠としたか、それとも単にじれただけか。黒の守護者がその翼を大きく広げる。
 そして一気に彼我の距離を詰め──

「ガアアアアアアアアアアアアア!!!」
「くっ……世刻!」
「はいっ!」

 振るわれる豪腕。その鉤爪の下を潜り抜けるように躱し、世刻と共に黒龍の懐へ距離を詰める事で回避する。
 俺が右、世刻が左。
 丁度守護者を挟み込むように分かれた俺と世刻に対し、どちらへ攻撃を掛けるか逡巡したのだろうか、守護者の動きが一瞬止まる。
 その瞬間を逃さず、俺は『観望』を双剣にし、交差するように振りかぶる。
 俺が使おうとしている技が解ったのだろう、一瞬苦笑を浮かべた世刻は同じように『黎明』を振りかぶり、

「クロス──」
「──ディバイダーーー!!」

 バチリ、と剣に巡らされたオーラフォトンが弾ける音と共に、ほぼ同時にその両刃を振り抜く!
 左右の剣が、黒龍の皮膚を切り裂きながら交差した瞬間、巡らされたオーラフォトンが反応し、斬撃と共に爆発にもにた衝撃を叩き込んだ。
 そしてふと視線を向けた先。守護者の向こうに見えたのは、俺とタイミングを同じくして攻撃を終えた世刻へ、その攻撃後の隙を突き、一撃を食らわせんと迫るベルバルザードの姿。

「イン・フェル レイ・ウィル インフィニティ! 来れ氷精、爆ぜよ風精 氷爆!」

 咄嗟に唱えた呪文はその効力を現し、ベルバルザードの進路を塞ぐように、奴の直前の大気が瞬時に凍結し、爆発と凍気を撒き散らした。

「グゥッ!」
「っ! 『グラスプ』!!」

 俺の魔法に一瞬ベルバルザードが怯んだのを見て、世刻はオーラフォトンでベルバルザードを拘束し、その隙に距離をとった。

「不意打ちとは、らしくない事やってくれるじゃないか!」
「ぬかせ。元々貴様の相手は我であろう!」

 そんな会話が聞こえ、ちらりと世刻がこちらを伺うのが解った。
 俺は彼に頷いて返し、

「世刻! そいつは任せる!」

 再び俺に対してその腕を振り上げた黒の守護者の、その振るわれた鉤爪を避けながら叫んだ。
 それに対し、「解りました!」と言う答えに続き聞こえて来た剣戟の音。あっちは任せて問題無いだろう。次は目の前の守護者だなと視線を向け……しゃん、と俺の耳を打つ音。
 咄嗟に自分を覆うように張った障壁を打ち付ける二つの光弾に、それが飛んで来た方へと視線を向ける。

「まったく、私を無視するなんていい度胸ね」

 そう言いながら腕輪型神剣『雷火』にマナを漲らせるエヴォリア。
 次いで感じた悪寒に周囲を探ると、こちらに向けて神剣を構えるミニオン達の姿。

<魔法が来るぞ>

 『観望』の声とともに、俺の視界がその力によってマナの流れを映し出す……って真っ赤じゃねえか!
 自分に集まるように収束する大量の赤マナに対し、慌てて後ろに下がると、それまで俺が居た場所へ十数発の『ファイアーボール』やら『ファイアボルト』やらの神剣魔法が着弾した。
 ……危ねえ。

(マスター、右です!)

 『観望』に「助かった」と念話を飛ばした直後聞こえたナナシの警告に『観望』を向けると、ギャリンと金属の擦れる音を立て、『観望』と切りかかってきていた青ミニオンの神剣が火花を散らす。
 そこに再度襲い来る、青ミニオンごと薙ぎ払うように振るわれる黒の守護者の拳。
 ──避けられねえ!
 喰らうのを覚悟するしかない、と、せめて障壁を張り、襲い来る衝撃へ身構えたその時、視界の端に誰かの影が映った。
 それは跳躍し、青ミニオンを押し返して身構える俺を薙ぎ払おうとする守護者の腕へと迫り──。

「ルプトナキーーーーーーーーーーーーック!!!」

 横合いからぶち込まれたルプトナの蹴りは、守護者の拳の軌道を逸らし、それは俺の側を掠めて地面を抉るに終わった。
 良いタイミングで来てくれる!

「助かった!」
「良いってこと!」
「そいつ任せていいか!?」
「おっけー! 任されたぁ!!」

 守護者の攻撃が逸れた事に安堵する暇もなく襲い来る、ミニオン達と切り結びながらルプトナに声を掛けると、ノリの良い返事が返って来た。
 本当に有り難い。これでミニオンが居るとはいえ、エヴォリアに集中できる。
 エヴォリアの“説得”が上手くいけば、ミニオンやベルバルザードも一緒に引かせられる公算が高いからな。
 ……さて、頑張りますか!
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/11/11(日) 09:36:33|
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