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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

永遠神剣之章:43.滅びの意思、意念の光。

 保健室を出て、ヤツィータに支えられて先に3人に伝えていたように校門へ行きながら、こらからの行動のプランを簡単に立てる。

 校門へ着いて、自身の身体の状態を確認しながら待つことしばし、途中で合流したのか、フィアとナナシ、レーメと共に、ミゥとユーフォリア、そしてナーヤが来た。

「……ってナーヤも連れて来たのか」
「うむ。事情はナナシ達から聴いた。塔へ行くのならば、わらわも居た方が良いじゃろう」
「……解った。じゃあ早速だけど、塔までの最短距離で先導を頼む」
「任せておけ!」

 もしもの時には、すぐにものベーを出して避難してもらわなければならない為、フィアには残ってサレスに事情を説明しに行ってもらい、「理由は解らないけど、気をつけなさいよ」と言うヤツィータに見送られつつ、残る俺達はナーヤの先導で塔へ向かう。その道中、ナーヤが「それにしても」と口を開いた。

「ほんとうに、その暁とやらは、『意念の光』を『支えの塔』のシステムを利用して理想幹へ向けて放って、それが跳ね返ってこの世界に来るのか?」
「絶対、とは言えないけどな。十中八九は間違いないと思う。それに仮に何も無かったとしても、今は起こると想定して動いた方がいい」
「……常に最悪の事態を想定して動け、ですね」

 ユーフォリアの言葉に「そういうこと」と頷く。
 今の俺達にとっての“最悪”は、跳ね返って来た『意念の光』の迎撃にすら間に合わず、それが塔へと激突すること。そうなればもう助かる術は無い。だから最低でも、跳ね返ってきた『意念の光』を迎撃するところまで間に合わせなければならない。
 ユーフォリアが既にここに居る以上、“原作”の様な、奇跡的な幸運などに僅かでも期待するわけには行かない。……いやむしろ、このタイミングで“夢”を見て、『調和』に「間に合わなくなるぞ」と忠告をしてもらったこと事態が、既に奇跡的な幸運と言っていいだろう。
 贅沢を言えば、『意念の光』それ自体を放たせないと言うのが一番なのだが……それはまず無理だろうから。
 ナーヤに先導されつつ走ることしばし……やはりここで生まれ育っただけあってか、俺達の思いも寄らぬルートを通り、転移装置を駆使してザルツヴァイを駆け抜け、ようやく──それでも思っていた以上に早く──塔の側へと着いた。
 どうにも俺の身体が思っていたよりも調子が悪いようで、走る速度が想定外に遅くて焦った。ナーヤが来てくれて正解だった。ナナシには感謝だ。
 そして塔に着いた俺達を待っていたのは、起動してそのシステムを稼動させている支えの塔の姿だった。

「ええい、何故塔が起動しておる! 修理が終わるまでは休止させておくはずだと言うのに!」
「暁だよ! やっぱやる気だ、あの野郎!」

 想定どおりと言えばそうなのだが、状況としては決して良くない状況に、ナーヤと共に悪態を吐き合ってから塔へと駆け入る。目指すは中枢。システムに介入して意念の光を放つには、そこしかないからだ。
 だが……駆けども駆けども駆けども駆けども辿りつかねええ!! どうなってやがる!!

「……恐らくは、強力な結界で隠蔽されているのであろう」

 思わず声を荒げて叫びそうになった俺を抑えるように放たれたレーメの推測に、そういえば暁の神獣の『ナナシ』はそう言うのが得意だったか、と思い至る。
 ……いいだろう、だったらこっちは『視つけて』やる!

「『観望』、力を貸せ!」
<……承知>

 脳裏に響く『観望』の言葉と共に、俺の前に神獣のノーマが現れる。そしてノーマが一度唸り声を上げたのと同時に、俺の右目の視界が変わった。これは……ノーマが『視て』いる視界か?
 それを証明するように、俺が首を右に動かせば、ノーマも追従するように顔を動かし、それと同時に右目に移る視界が動く。
 そしてもう一度ノーマが唸り声を上げると、右目の視界は更に変化した。
 いつもよりも濃密に。今までよりも鮮明に。
 俺の右目の視界をマナの動きが、密度が、質が、色が、埋めていく。そしてそれは、直ぐに気付いた。目の前にある、半透明の壁。

「……これが結界か……!」

 突破するための“綻び”を捜す。
 どんな小さなものでもいい。切欠さえ掴めれば。突破する糸口さえあれば。間に合わせるために。捜せ捜せ捜せ捜せ!

「……見つけた!!」

 それは小さな小さな綻び。堅牢な結界に入った僅かなズレ。
 だがその時、大きく塔が揺れ、次いでどこかでナニカが爆発するように破砕する音が響いた。

「なっ……! 何じゃ今のは!?」
「まさか今のが!?」
「……外にもの凄い“力”を感じました。多分、『意念の光』だと思います」

 ナーヤとミゥの疑問に、ユーフォリアが答える声が聴こえた。

「くそっ!」

 綻びから結界を壊すために『観望』を現す。堅牢な結界をも切り裂けるよう、ただ鋭く。

「……神剣『フラガラッハ』!」

 刀身自体が発光するほどに込められたオーラフォトンと綻びが接触したその瞬間──バリィンッと、まるでガラスが割れる様な音を立て、結界が崩れ去る。
 その瞬間、俺達の前にあった支えの塔内の風景は一変し、先程まで幾ら進んでも辿り着かなかった、中枢へ向かう道がそこにあった。

「よし、行こう!」
「はい!」

 中枢──メイン制御室へ向けて駆けながら、これから各自が行う事を説明する。
 中枢に着いたらナーヤは真っ先に『支えの塔』が暴走しないように調整を、そして跳ね返ってくるだろう意念に対しては、俺が最初に迎撃を行う。ミゥにはその時に、俺にマナリンクでマナの供給をしてもらう。
 だが、俺の今の状態……いや、例え完調であったとしても、俺の一撃だけでは相殺は不可能だろう。なので、ユーフォリアにはその相殺し切れなかった分を打ち消してもらう。
 それを説明し終えたのと丁度同じくして、メイン制御室の扉へと辿り着き、蹴破るように開け放って雪崩れ込んだ。

「なっ!? ……先輩? それにナーヤ?」
「む……お前達か? ナナシの張った結界を越えた者というのは?」

 部屋の中へ最初に入った俺とナーヤの姿に、世刻と暁がそう声を掛けてきた。けどとりあえず今は放っておく!

「ナーヤは塔の制御を! ナナシ、レーメ、ミゥ、やるぞ!」
「うむ、塔は任せよ! ……ええい、それにしても、制御室の壁に大穴を空けおって!」
「イエス、マスター!」
「うむ! ユウ、マナの供給があっても現状の調子では組み込める限度は100柱ずつだぞ!?」
「はい! 祐さん、行きます! 『マナリンク』!!」

 各々の返事を聞き、ミゥにマナの供給を受けながら、それと己のマナと魔力を引っ張り出して“力”を創る。

「……イン・フェル レイ・ウィル インフィニティ……」

 唱えるは、己が内へと呼びかけ、起動させる始まりの鍵。
 途中、暁が世刻に「何故俺とお前の神獣がもう一人ずつ居る?」と訊いていたのを流しつつ、術式を組み上げていく。
 『光』と『闇』を100柱ずつ、顕現させ、混ぜ合わせ、包み込み、繋ぎとめる。
 そして、俺の手の中に、赤黒く輝く長大な槍が顕現するのと、跳ね返って来た意念の光がこの世界に現れたのは、ほぼ同時だった。

「……まったく、あれもそうじゃがお主のソレも何という力じゃ」
「今の俺に放てる掛け値なしの全力の一撃だからな。で、ナーヤ……塔は?」
「問題ない。システムは抑えたのでもう暴走の危険はない」

 やるべき事を終えたナーヤの言葉に、ほっと息を吐く。あとはあれを何とかするだけと、制御室の壁に空いた大穴から見た空は、意念の光の影響か極彩色に染まり、禍々しさすら放っていた。
 迫り来るは、圧倒的な“滅び”の気配。

「そんな……あれだけの力を鏡面反射するなんて……いえ、それよりも……まるでそれを知っていたかの様に動く貴方達は、何者なのですか?」
「それは後だ。……つっても、お前達が俺達の話を聞く気があるなら、だけどな」

 そう俺達に語り掛けて来たのは、暁の神獣である『ナナシ』。それに俺は首を横に振って答え──己が手の内にある、俺の持てる最大の“力”を、迫り来る『滅びの意念』へと解き放つ!

「──神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」

 衝突は一瞬。次いで訪れる、無音の衝撃と閃光。
 “滅び”の意思の込められた意念の光と、“破壊と消滅”の属性を持つスピア・ザ・グングニルがぶつかり合い、無音にして激烈な衝撃と閃光を撒き散らし、その余波が離れたここにも届いた。

「くっ……どうなってる!?」

 世刻の言葉に促されるように、光の治まった外を見ると──変わらぬ極彩色の空と、先程よりは小さくなりながらも、こちらに迫る『意念の光』。

「駄目だった!?」
「まだだ! ユーフォリア!」
「はい! 任せてください!」

 返事と共にユーフォリアは壁の穴の付近まで近づくと、意念の光に向けて神剣を構える。
 そしてその背後に現れる、二頭の竜。

「ゆーくん、一緒に頑張ろうね…… 全力全開、ゆーくんアタックーー!!」

 そんなユーフォリアの声と共に、彼女の神獣から放たれた青と白の光の奔流は、『意念の光』をも飲み込み、その威力をさらに削った。

「ミゥ! 世刻! 彼女にマナを!」
「……っ! はい! 『マナリンク』!!」
「わ、解った! ……天界の煌きが力を増幅する……『セレスティアリー』!」

 俺の声に反応したミゥと、戸惑いながらも世刻が、ユーフォリアへとマナを送る。二人が今の『ダストトゥダスト』の範囲外に居てくれて良かった。
 そしてそれを受けたユーフォリアが、

「行きます! ……原初より終焉まで! 悠久の時の全てを貫きます!」

 形状を変えた『悠久』に飛び乗り、

「『ドゥームジャッジメント』!!」

 膨大なマナに包まれて突貫する!
 次の瞬間、俺の時よりも、先程の『ダストトゥダスト』の時よりも大きな衝撃と閃光が辺りを満たした。

「くっううぅぅぅぅんむむむむ!!! てええええい!!」

 ユーフォリアの気合の声に、閃光のために伏せていた眼を向けると、意念の光と真正面からぶつかり合い、拮抗するユーフォリアの姿。
 ……『原作』では威力の落ちていない意念の光を防ぎきったユーフォリアが、それより劣る今の意念の光と拮抗しているのは、やはり『神名』のせいだろうか。
 つまり、『原作』ではこの世界に来たばかりで『神名』の事を知らなかったために、『神名』に制限されていても本来の全力に近い力を出した──結果として記憶を失ってしまったが──のだが、今のユーフォリアはすでに『神名』の事を知って時間が経っているために、全力は全力でも、“『神名』に制限された中で出せるだけの全力”になってしまっているのではないだろうか。
 ──このままじゃ、下手をすれば押し負けてしまう。

「ナナシ! レーメ!」
「はい! レーメ、行きますよ!」
「解っておる! ナナシ、合わせよ!」

 俺が促す前に既に準備していた二人。
 精神を集中させ、研ぎ澄ませていくに従い、俺の腰につけた戦術オーブメントが唸りを上げ、事象を想像し、現象を創造する。

「『テンペストフォール』!!」

 声と同時に歪む空は光を捻じ曲げ、極彩色の空を赤く染め上げ、ユーフォリアと拮抗する『意念の光』のその流星のごとき尾に、天墜の一撃を振り下ろす!
 炸裂した歪みは大気を、空間を、世界を蹂躙して、『意念の光』に込められた力を抉り取っていく。
 そしてそこに追い討ちをかけるように──2条の閃光が突き刺さり、爆炎をあげた。

「クロウランス、もう一度じゃ!」

 ナーヤの声に反応し、いつの間にか彼女の背後に顕現していた赤色の巨体、彼女の神獣である、魔法機械のゴーレム『クロウランス』が、その肩口に付けられた二門の砲門から、レーザーにも似た灼熱の閃光を『意念の光』に向かって撃ち放った。
 それを視ていた俺を、2度マナが包み込むのを感じ、首を巡らすと世刻とミゥが頷いて。俺はそれに頷き返すと、今だ若干ふら付きそうになる身体を、壁の穴のところまで進めた。
 本来なら、ここからだとユーフォリアに届く距離じゃないだろう。けど、大気に散らした『観望』を導火線の役割にすれば……!
 今しがた受け取ったマナと、己の残り少ないマナを搾り出し、練り上げ、流し、声を張り上げる。

「……届けっ……ユーフィー、行けえええ!!」

 上手く届いただろうか? ……うん、きっと届いただろう。 一瞬、彼女がこちらを見て笑った気がしたから。

「っ!! ……いくよ、ゆーくん! 突っ切れええええええ!!!」

 そして彼女の裂帛の気合と共に、彼女を包むマナが強く輝いて──。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/09/09(日) 22:39:20|
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