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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

永遠神剣之章:40.支えの塔、内部にて。

神名オリハルコンネームですか……つまり、それが植えつけられたせいで、力が制限されているって事なんですね」


 『支えの塔』へ向かう道すがら、ユーフォリアへ、彼女が実力を出し切れない理由を説明すると、そう確認するように言葉を返してくる。そんな彼女へ「ああ」と頷くと、それを聴いていたミゥが「あの、いいでしょうか」と口を挟んだ。

「以前私が聴いた話では、『神名』は神の転生体の証にして、それに目覚めれば大きく力を増すブースターの様なものと言う事だったんですけど」
「それもまた一つの側面ってやつさ。本来『神名』ってのは、この『時間樹』を創り出した存在が、『時間樹』を維持管理するための存在を支配、制御するために創り出したもんだ。その『時間樹を維持管理するための存在』ってのが転生体達の前世、『神々』だな。で、『神名』ってのは、力の弱いものが持てばミゥが言った様に、“その神名が持つ力に即したものが出せる”って言うブースターに、力の強い者が持てばユーフォリアに起こっているように“その神名が持つ力までしか出せない”って言うリミッターになるのさ」

 俺の説明に「なるほど」と頷く皆。そんな中、ルゥがほぅと一息吐き、それに気づいたポゥがきょとんとした顔を見せた。

「ルゥ姉さん、どうしました?」
「……いや、今の話の中で重大な事をサラッと言われた様な気がしてな」

 その言葉に、今の自分の言葉を思い浮かべる。……あぁー……そう言われてみるとそうだな。なんて今更思っても遅いのだが。……まぁ、秘密にしないといけないって訳でもないだろう。たぶん。

「ははは。まぁ気にするな」
「……はぁ、そうしておこう。それにしても……沙月達の力を持ってしても『力の弱いもの』に分類されるとは……な」

 そんなルゥの、ぽつりとした言葉に皆の視線がユーフォリアへ集まる。そしてそんな状況に「ふぇ、な、何ですか?」と慌てるユーフォリア。

「皆、君がどんだけ強いんだって思ってるんだよ」
「ええ!? そんな、あたしなんてまだまだですよー! パパやママの足元にも及びませんから……」

 そんなユーフォリアの言葉に、苦笑いで返すしかない俺達だった。



……
………


(ナナシ、たった今『支えの塔』の発光が止んだ。そっちはどうだ?)
(現在『支えの塔』の管制室へ続く階段を登っているところです。そちらは?)

 もう少しで『支えの塔』前へと続く転送装置へ着きそうだという所で、不意に発光していた『支えの塔』の光が止んだ。
 ナーヤに同行しているナナシに現状を聞いてみると、すぐに返事が返ってきたので、「もう少しで塔への転送装置だ」と答える。

(流石に速いですね。それにしても発光が止んだ、と言う事は……)
(ああ、エヴォリアのやることが終わったって事だろう。済まないが急いでくれ)
(了解しました)

 まあ、道中の敵は全て世刻達が殲滅してくれているので、俺達は真っ直ぐ塔へと向かうだけだから速いのは当然なんだが。
 ナナシとの念話を終え、程なくして転送装置によって『支えの塔』へと到達する。
 恐らくはナーヤが通れるようにしておいてくれたのだろう、開け放たれていた入り口をくぐり、中に突入して少し行った所で、激しい戦闘音が耳に届いた。
 皆と頷きあい、音の聞こえる方へ行くと、広場の様な所でミニオン達と戦う旅団の皆。確認できるのは斑鳩にサレス、タリア、ソルラスカ、ヤツィータの5人。声を掛けようとしたところで、斑鳩の背後にミニオンが迫るのが見えた。

「『観望』!」
<承知!>

 走っては間に合わないと判断し、『観望』へ声を掛けながら、俺の周囲に漂っている粒子状の『観望』へとマナを通し、一条の光線として撃ち出す。先のスールード戦において使用した『オーラフォトンレイ』の速射版だ。無論、速射なだけあって威力は低いが。
 俺の意志を読み取った『観望』によって、放たれた光線は斑鳩に向かって武器を振り上げていたミニオンの、その武器を持った腕に命中。その隙にレーメにサポートを任せ、呪文を省略し──。

「イン・フェル レイ・ウィル インフィニティ……『闇の吹雪』!」

 突き出された俺の手から放たれた氷雪を孕んだ闇色の魔力の奔流は、間に挟んだ幾人かのミニオンを巻き込み、吹き飛ばしながら、斑鳩の背後に迫っていたミニオンを撃ち抜いた。最も彼女はすでに気付いて対処しようとしていたが。
 それによって俺達の姿に気付いた斑鳩達が、敵を牽制しつつこちらへと一度集まってくる。

「ありがとう、青道君。助かったわ」
「いや、正直余計な手出しだったかなと思わなくも無いが。それより状況は?」
「望達は先に行っている。お前たちにも向こうへ行ってもらいたい」

 俺の問いに答えたのはサレス。その言葉にこちらに残るメンバーを見て考える。
 ミニオンの数は……まだ結構多いが、まぁ、このメンバーなら大丈夫か。いやでもなぁ、皆連戦で疲れてるだろうし……と考えたところで俺の表情から何かを察したのか、ミゥが「あの……」と声を掛けてきた。

「こちらには私とゼゥとワゥが残りますから、祐さん達は先に行ってください」

 その言葉にコクリと頷くゼゥとワゥ。……よし、迷ってる時間も無いしな。
 承諾の旨を伝えて、管制室へと向かう事にする。

「わかった。じゃあ先に行く。皆も気をつけ……」

 そこまで言いかけた時だ。ズズンッとこの『支えの塔』それ自体が大きく揺れた。
 一体なんだとサレスを見ると、物凄く苦々しい顔をしていた。そして俺の視線に気付いたサレスが、ぽつりと「塔の崩壊が近いのだろう」と漏らす。

「くっ……俺達が先の様子を見に行くから、皆は退路の確保を!」
「……解った、任せとけ!」
「そっちもしっかりね!」

 各々と言葉を交わし、途中立ち塞がったミニオンを斬り倒し、上へ続く階段へ向けて駆ける。
 途中撃ちこまれそうになった敵の神剣魔法は、斑鳩とタリアが打ち消してくれる。

「オラアアア!!」

 併走していたソルラスカが、道を塞いでいた一体を吹き飛ばし、開いた隙間を縫って上階へと向かった。



……
………


 長い階段を登った先、管制室へ続く扉の前は激戦の跡だった。
 どうやら下よりもこっちの方が敵は少なかったのか、殲滅し終わっているらしいな。
 大きな扉の前に立つのは三人。永峰とカティマ、ルプトナ。そしてうつ伏せ倒れているニーヤァと思われる猫耳男。どうやらこちらに気がついたらしく、「先輩!」と永峰がこちらに手を振ってきたので急いで駆け寄る。

「無事か!? 世刻達は?」
「私達は大丈夫ですけど、望ちゃんたちは別の管制室へ向かいました」

 今も尚崩壊へ向けて揺れる『支えの塔』。それを止めるためにはシステムへのアクセスが必要なのだが、どうやらこの先の管制室からはアクセスがロックされていたらしい。その為に世刻達はニーヤァの事を永峰達に任せて、別の場所にある、サブ管制室へ向かったと言う。

「コイツ、下半身丸出しだったんだよぉ……」

 ニーヤァをじと眼で見ながら心底嫌そうに言うルプトナ。それを聞いて嫌なものを思い出したと言わんばかりの表情を浮かべる永峰とカティマ。……ご愁傷様と言わざるを得ない。
 そんな彼女等の様子に、俺達が皆揃って苦笑いを浮かべた時だ。周囲に感じられる神剣反応──バッと振り向くと、半包囲するようにミニオン達が現れていた。まだ居た……というより、新たに出てきたのか?
 と、丁度その時、ナナシから念話が入った。

(マスター、聴こえますか?)
(ああ、状況は永峰達から聴いた。そっちは?)
(これからナーヤと共に、システムへのアクセスに入ります。ナーヤは完全にシステムへ精神のダイブ。私も極度の集中状態に入りますので、こちらへは私の気配を辿って来て下さい。……可能ですか?)

 ナナシの提案にふむ……と一考。目を閉じて集中すると、俺の肩の上と、少し離れた所に慣れ親しんだ気配を感じることが出来た。言わずもがな、レーメとナナシだ。

(可能みたいだ。直ぐに向かうよ)
(はい……お待ちしています)

 念話を終え、向こうの様子を永峰達に説明すると、途端に心配そうな表情になる永峰。何と言うか、子犬の様な目で見るんじゃない。……ったく。

「この分だと、向こうにもミニオン達が現れているでしょうか……」
「……かもしれない。けどまあ安心しろ、世刻達の方へは俺達が向かう。永峰達はニーヤァを連れて脱出してくれ」

 そう言うと驚いた顔をし、「そんな、危ないですよ!?」と言う永峰達。まぁ、塔が崩壊するかもしれない瀬戸際だしな。

「……大丈夫だよ。塔の崩壊は今ナーヤが食い止めようとしていて、それは成功するだろう。だったらそれまでの間、世刻と一緒にナーヤを守ればいいだけなんだしな」
「けど、絶対に食い止められるって訳じゃないんだよね?」

 思わずといった様子で、不安そうな顔で言葉を漏らしたのはルプトナで。……ああ、そんな場所に世刻が居ると、改めて思ってしまったのか。
 そんな彼女の肩を、大丈夫だ、と叩く。パンッと乾いた良い音がした。

「今言っただろ? 成功するって」
「でも、そんな……」
「ナーヤのサポートをナナシがしているから。失敗するわけがねーよ」

 そう言い切った俺に「信頼してるんですね」と永峰が言い、そんな彼女に「当然だ」と返す。俺達のそのやり取りに、ルプトナの表情も少しだけ和らいで「解ったよ」と言ってきた。
 周りのミニオンはじわりじわりとこちらへの距離を詰めて来ている。そろそろ行かないと互いにまずいだろう。

「ほら、お客さんも焦れてきたみたいだぜ」

 俺の言葉に対して、ルゥとポゥが顔を見合わせ、周囲の様子と、俺達の状態を確認してから頷きあうのが見えた。
 なんだろうと思っていると、不意に両腕をそれぞれに捕まれる。
 どうした? と言おうとして、二人の顔が泣きそうなぐらいに歪んでいる事に気付いた。

「祐……私とポゥは希美達の援護に回ろう。彼女達だけではそこのを連れて脱出するのはきついだろうしな……」
「……そう……ですね。だけど、約束してください……絶対、絶対に帰ってくるって!」

 俺も他人の心の機微に聡いとは言えないけど、二人が抱いているだろう感情は、ひしひし感じる。二人の表情から、読み取ることが出来る。……不安と、恐怖。それほどまでに、二人はそれを顕にしていた。
 彼女達の過去、それに何が起こったのかは知らない。……きっと、同じような状況で身近な人を失ったのだろうと察する事はできるけれど。
 二人は本当は俺と一緒に奥に行きたいと思ってくれているのだろうか。……だとしたら、嬉しくも、こんな想いをさせてしまう自分が情けなくも思う。
 そんな二人から腕をそっと剥がし、頭を撫でてやる。安心しろ、と強く想いを籠めて。

「……解った。絶対に世刻達と無事に戻る。だから皆も気をつけて」
「あの、先輩! 望ちゃんをお願いします! ……きっと無理すると思うんで……」

 永峰の言葉に頷いて同意するカティマとルプトナ。……まったく、自分たちも大変だろうに、最初から最後まで出るのは世刻達の心配とは……ほんと、幸せもんだね、アイツ。
 永峰達に「任せろ」と告げると、もう一度「お願いします」と言った永峰は、一瞬の間を置いてから「それと……」と言葉を続けた。

「先輩も、無理しないでくださいね」

 永峰に一度頷いて、心配してくれる皆に「ありがとう」と告げてから、もう一度ルゥとポゥの頭をクシャリと撫でて、ユーフォリアと顔を見合わせて頷き合う。

「じゃあ、行こうか」
「はい!」

 ユーフォリアの力強い返事を受けて、迫るミニオン達へ向けて駆け出す。
 先陣を切るのはユーフォリア。彼女の持つ『悠久』の、先端部のパーツが前後に伸び、光の刃ではなく『悠久』それ自体が大剣の形を取った。……いや、どちらかと言うと刃状の一枚の大きな板と言った方が近いかもしれない。
 そのまま彼女は『悠久』に飛び乗ると、瞬間的に加速、敵に向かって突っ込んでいく。

「このまま、次元ごと断ち切ってみせます! 『ルインドユニバース』!!」

 敵集団をぶち抜いたユーフォリアは、そのままミニオンの壁の向こう側へ着地。俺は彼女が創った道を、ミニオンを斬りながら一気に駆け抜けて合流し、ナナシの気配へ向けてその足を向けた。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/09/03(月) 02:17:35|
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