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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

永遠神剣之章:29.いざ、森の奥へ。

 正式にルプトナを仲間へ加え、ピラミッドを目指す……その前に、一度精霊たちが隠れ家にしている洞窟へ案内してもらい、話し合いを行う事になった。

 これ以上は、さすがにロドヴィゴさん達一般人を連れて行くには危険過ぎる。そう主張する俺達に対し、ロドヴィゴさんはやはり、このまま足手まといで終わるのは忍びない、と、同行を求める。だがやはり、さすがに無理があると解っては居たのだろう。彼らも行かない事を了承したところで、別の問題が浮上した。彼等を一旦町まで帰すか否か、だ。
 帰すのであれば、ここから彼等だけで戻すわけに行かないので、俺達も一度同行して戻ることになる。それに対してロドヴィゴさん達が、そこまで迷惑をかける訳には……と言ってくる。
 そんなやり取りが堂々巡りになりそうな所で、タリアが声を上げた。

「青年団の人達の事も問題だけど、あのピラミッドを破壊するに当たっても、問題があるわ」
「問題ですか?」

 そう問いかける永峰に頷き、タリアがそれを説明する。
 この辺りの高台からも見えるピラミッド。その周囲に、マナの嵐が取り囲んでいるのを見た、と言うのだ。
 ──マナの嵐。その名の通り、膨大なマナが嵐の如く渦巻いているのである。
 その一空間に存在するにしては多すぎるマナが、激しい勢いで流動するその空間は、神剣使いの様な身体をマナで構成された所謂『マナ存在』に対して大きな──対抗する力が足りなければ、容易にその存在を消滅させてしまう程の悪影響を及ぼす。……言うなれば、神剣使いに狙いを絞った強固な防御壁だ。
 そんな説明がタリアからなされ、世刻と永峰が、自分たちが実は純粋な人間ではなくなっていた事に少なからずショックを受けた後、長老がそのマナの嵐の付近に、それを制御する装置らしきものを見たことがある、と補足する。……無論、その装置も小規模なマナの嵐が取り巻いていたそうだが。
 俺達が皆、どうしたものかと頭を悩ませた時だ。ロドヴィゴさん達、青年団が名乗りを上げたのは。

「……マナの嵐とやらは、我々人間には悪影響は無いのですな? ……ならば、その制御装置の破壊は、我々が行いましょう」

 その宣言に、誰しもが言葉を返せなかった。
 でも確かに、それがベターな選択なんだよな。……あとは、マナの嵐の外から、マナの嵐ごと大規模な火力でぶち抜くって手しかないが、その後にも戦いが控えている以上、その方法は避けたい。

「…………解りました。お願いします」
「先輩!?」

 ロドヴィゴさんに対して了承の意を返した斑鳩に対し、世刻が声を上げる。言いたい事は解る。──危険なのだ。何しろ、敵の本拠地の只中なのだから。

「……言いたい事は解るけどな、世刻。それしか方法が無い事も解ってるだろ?」

 斑鳩をフォローするように言った俺に対し、世刻は「それは……」と一瞬口ごもるが、直ぐに「で、でも、死ぬかも知れないんですよ!?」と声を荒げた。

「……心配してくれて、有難う。だが、あのピラミッドを放っておけば、いずれこの世界が滅びてしまうのでしょう。そんな事は、この世界に生きる者として、許すわけには行かない。……それにこれは、直接奴らと戦う事の出来ない我々が出来る、肉親の敵討ちでもあるのです」

 その世刻の言葉に対して答えたのは、ロドヴィゴさんだった。
 そう言い切るロドヴィゴさんと、それに同意するように頷く青年団の人達から感じる意思は硬く、世刻もまた、それ以上は何も言わなかった。

「……さて、望君も納得してくれたところで……ロドヴィゴさん、マナの嵐の近くまでは私たちもサポートできます。でも、マナの嵐の中に入ったら手を出せない。……どうやって装置を破壊するのですか?」
「そうですね……これを使いましょう」

 斑鳩の質問に答え、ロドヴィゴさんは背後にいた青年団の一人に合図を送る。と、その人は持っていた手荷物の中から、細長い筒の様なものを取り出した。俺達の世界にあるものにそっくりな、先端から導線の飛び出したそれは、紛う事なきダイナマイトである。

「それって……もしかして、爆弾ですか?」
「ええ。念のため、いざと言う時の為に用意していたのです。尤もこの様な形で役に立つとは思っていませんでしたが。これでしたら、制御装置も破壊できるでしょう」
「なるほどの。それでワシらを吹き飛ばすつもりじゃったか? ……やれやれ、物騒なことじゃわい」
「……しかし今は違う。この世界のために。我々の子どもや孫が、この世界で暮らしていけるために、これを使うんです。なあ、みんな?」

 ロドヴィゴさんの声に応え、青年団の皆から「おう!」と言う勇ましい声が上がる。それはとても力強さに満ちていて、彼らもきっと、あれを精霊たちに復讐の為に使うよりは、未来を掴む為に、この世界を守る為に使う方が、心情的にも楽なんだろうな。
 そんな彼等を、長老は目を細めて見ていた。

「子の為、孫の為、か。……ふん、寿命の短い人間の考えそうな事じゃ」
「長老……そんな言い方しなくたって……」

 ぽつりと漏らした言葉に不満気な声を漏らすルプトナに笑いかけ、長老は穏やかに語りかけるように言葉を続ける。

「ワシらはなにもできん。じゃが、彼等に……人間達に助けられた事は、ワシらはずっと記憶して行こう。幾許の時が過ぎ、たとえこの世界から人間達がいなくなったとしても、今日ここに居る人間達の顔は、ワシらがずっと覚えておく。……その為にも、この世界を守らんとな」
「……長老」

 その長老の言葉を聴いたルプトナの声は、今度は嬉しそうだった。
 何て言えばいいんだろうか。……皆基本的に良い人たちなんだよな。それが、僅かなすれ違いが大きな軋轢を生んで、そこを漬け込まれて亀裂を大きくされていた。……何ともやり切れないものだ。

「じゃあ、今日はもう遅いから、作戦は明朝決行ね。それでいい?」

 タリアの言葉に皆が了承を返し、ここに作戦が決まった。
 手順は至極簡単。俺達がロドヴィゴさん達をマナ嵐の近くまで送り届け、そして彼らが制御装置を破壊。マナの嵐が消えたら、ピラミッドへ突入する。それだけだ。無論、作業を終えたロドヴィゴさん達の危険が出来るだけ減る様に、周囲のミニオンはなるべく倒さなければならないが。
 恐らく、『剣』に向かうのはその後になるだろう。ここから見える光景から判断するに、『剣』の所在はピラミッドの後ろにある。マナの嵐の範囲外ではあるようだが。
 だが、不安はある。
 『原作』通りであるならば、ピラミッドにて俺達を待ち構えているのはベルバルザード。武器も魔法も巧みに操り戦い、倒した相手の武器を収集するような『光をもたらすもの』屈指の武闘派。
 ……そんな奴と戦った後に、エターナルと思われるスールードと戦う、と言うこと。……ミゥ達から聴いた話で判断するに、スールードは基本的に分体──力を分けた分身体のようなもの──で活動しているようであるのが救いではあるか……。
 ……なんにせよ、行き着く結論は結局の所、“やるしかない”のだが。



……
………


 明けて早朝、俺達は洞窟を出立し、ピラミッドへと足を向ける。道中、俺達を迎え撃つのは、相も変わらず大量のミニオン達。そんな中、ピラミッドへ近づくにつれかすかに地面が鳴動している事に気がついた。

「皆! 敵を後ろに行かせないようにね!」

 斑鳩の号令に「応!」と返事をし、長老の案内で森の中を敵と戦いながら進んでいる際、俺はソレに気付いてしまった。
 ──今までも散々世話になっているが、俺の持つ永遠神剣『観望』を所持する事により得られる固有の能力に、“視る”と言うものがある。これは随分と汎用性の高いもので、マナの流れや量、質なんかも“視る”ことができる。以前、大気に赤マナが満ちるのを“視た”ことで、範囲型神剣魔法が来るのが解った、などだ。
 ……何が言いたいのかと言うと、だ。ピラミッドへ向かっている道中である現在、“視て”しまったんだ、『剣』を。
 正直言って、ヤバイ。
 何がヤバイって、今現在アレが溜め込んでいるだろう、マナの量と質だ。
 『観望』を通して“視た”『剣』は、恐らく中心部分であろう所に、一際大量のマナが溜まっている上に、全体もまたマナで発光し、所々から溢れたマナが、紫電を発して弾けている。
 ──一目見て解った。アレはもう臨界が近い。……となると、この大地の鳴動は……。
 吸い上げたマナをスールードに送り、ミニオンの生成にも使っているだろうにも関わらず、あの状態。一体どれほどのペースで精霊回廊からマナを吸い上げていると言うのか──。
 俺はすぐにソレを斑鳩達に伝え、行動の変更を伝える。

「斑鳩、悪いがロドヴィゴさん達をマナ嵐の所まで送ったら、俺はすぐ『剣』に向かう」
「……そうね……けど、大丈夫なの? 随分と拙い状況のようだけど」
「……そうだな。恐らくは、中心辺りの一際大きなマナ溜まりになっている部分、あそこが多分、全体を循環しているマナの基点になっていると思う。──だから、誘爆することも出来ないぐらいの火力で、中心のマナ溜まりを吹き飛ばす。……そうすれば、『最悪の事態』は避けられるはずだ」

 この予測は、ナナシとレーメが俺から得た情報で判断したもの。他の人にはどうか知らんが、俺にとってはこれ以上無いほどに信頼の置ける予測である。ちなみに、『最悪の事態』は言うまでも無い、この世界が崩壊すること、だ。
 斑鳩は俺の言葉を吟味するように考えたあと、俺の眼を見つめて、口を開いた。

「……ソレほどの火力に、心当たりは?」
「一つだけ。もともとはあの『剣』を破壊するために考えたものが。……まぁ、『剣』を破壊できるかどうかはわからないが、マナ溜まりを吹っ飛ばすぐらいの威力なら有るはずだ」
「……分かったわ。じゃあ、あっちは青道君に任せる。ミゥ達とリーオライナさんは、彼に着いて行って」

 斑鳩の決定に俺達は頷き返すと、再びピラミッドを目指す。その足は、先程よりも急ぎ気味になっていたのは言うまでもなく。



……
………


「それじゃ、ここは任せるぞ」

 ピラミッド付近、マナが渦巻く前まで来た所で、皆にそう告げ、皆からも異口同音に「そっちもしっかりね」との言葉を貰い、その場を別れ、マナ嵐を迂回する様に『剣』へと駆ける。
 ナナシとレーメを加えて3人掛かりで、全員に対して移動力向上アーツシルファリオンを掛け、飛ぶように流れる風景の中、神剣の力を全開にしてひた走る俺達の前に立ちふさがる影。

「祐さん! 前方にミニオン!」
「一気に駆け抜けるぞ!」

 アーツによって底上げされた俺達の速度はミニオンの予想を上回っていたのだろう、言葉通りろくな反応もさせない間に接近し、通り抜け様に斬り捨てる。
 その時、ズドン! と言う盛大な音が聴こえた。恐らく、ロドヴィゴさん達が装置の破壊に挑んだ音だろう。向こうの結果も気になるが、俺達の目標はそちらではない。何より、大地の鳴動は『剣』に近づくに連れてはっきりと解るほどになって来ている。

「見えたぞ!」

 道中に配されたミニオンを出会い頭に斬り捨てながら森の中を突き進む中、俺の少し前方を文字通り“飛んで”いるリーオライナの声が聞こえた。
 その声の通り直ぐに前方に『剣』の大地に刺さった部分が見え、同時にその『剣』の腹の、地面に程近い高さに空いた穴から、ミニオン達がぞろぞろと現れて来るのも見えた。

「一々相手にしている暇はない、一気に片付けるんで援護よろしく! ナナシ、レーメ、いくぞ!」
「はい!」
「任せよ!」

 俺の言いたいことを察し、二人はすぐにアーツの準備に入る。以心伝心、流石である。俺も遅れじとアーツを使用するために集中し、二人とタイミングを合わせる。
 敵に近づくまでの間、俺達の接近に気付いた赤ミニオンが神剣魔法の準備に入ったのが見えた。その数はざっと10人。……タイミング的に厳しいとは思うが、きっと大丈夫。そう思いながら敵の只中へと突っ込んでいく。
 『観望』を通して“視る”ミニオン達の周囲の空間が、練り上げられた赤マナの影響で歪み、軋みを上げ、今正に撃ち放たれんとした、その時──。

「『メガバニッシャー』!!」

 俺の後ろに追従していたルゥが叫び、そのマナを解き放った瞬間、辺りの空間が、敵や敵の神剣魔法もろとも凍結した。それは正に、バニッシュ能力を持った全体凍結魔法。何とも凄まじい。
 思わず感嘆の余り切らしそうになった集中を持ち直し、ナナシとレーメに目配せする。
 コクリ、と頷く二人に頷き返し、同時に解き放った。奇しくもルゥと同じ系統のものを。

「『コキュートス』!!!」

 俺とナナシ、レーメの声が唱和し、その瞬間、ルゥの魔法に追撃を掛けるように俺達を中心とした周辺一帯に凍気が広がり、大地から氷柱が突き上がり、ミニオン達に壊滅的な打撃を与えて砕け散った。
 ルゥの全範囲凍結魔法メガバニッシャーに加えて、俺達の特大範囲攻撃アーツの三重奏は、『剣』から現れていたミニオン達の悉くを凍結させ、打ち砕き、マナの霧へと返していた。少々オーバーキル気味では有るが、ギリギリを見越して撃ち漏らしたんじゃ意味が無いから無問題ってことにしておこう。
 俺は入り口に駆け寄りながら、先行させて大気中に撒いた『観望』で中を覗き込み、敵の姿がない事を確認しておく。

「よし、敵は居ないみたいだ。行こうか」
「はい!」

 異口同音の皆の返事を聞きつつ、俺は暗く口を開けた入り口へと突入する。
 目指すは中枢のマナ溜まり。そこまで行けば、何とかなる。……何とかしてみせる。
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  1. 2012/07/18(水) 02:53:57|
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