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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

Phase105:「用意」

 色々と聞いて、色々話した日の翌日。

 一晩時間を置けば、受け入れて、飲み込んで、決意したことでも、それでもやはりやりきれない“何か”が心の中に澱みのように沈んでいるのが感じられる。
 きっとこの澱みは、この先も無くなることはないだろうし、もしかしたら時間が経つほどに、重く大きくなっていくのかもしれない。けど──フェイトが、皆がかけてくれた言葉が、俺を前へと進ませてくれる。
 ……自らの世界との繋がりが消える。それが実際にどんな結果を為すのかは解らないけれど……それでも、俺には“帰る”場所がある。そう思うことが出来ると、心の重しが多少は軽くなった。
 だから、大丈夫。

 さて、今日から決戦の日までの間に必ずやらねばならないこととして、『蓄魔石マナ・クリスタル』を量産すること、がある。
 ネックなのは、この作業は現状、俺、フェイト、なのはの三人しかできないことだろうか。まぁ【スキル】や【称号】による補正があったとはいえ、俺がディバイドエナジーを習得するのに、然程苦戦しなかったことを考えれば、はやてがこの手の技能を使えるようになるのもすぐだとは思うけれど。
 ……あぁ、はやての場合、非ユニゾン状態で魔法を使うところからになるのか? ……いや、それこそ彼女なら大丈夫か。“あっち”には守護騎士達が居るし、“こっち”にはリインフォースも居るのだし。
 さて、取り敢えず思考を一段落させて、いつものようにフェイトを喚……

 ──私も、葉月のことが大好きだよ。

 ふと、昨日彼女に言われた言葉がリフレインした。
 ……なんというか、ああやって真正面から好意を口にされると、流石に照れるものがある。まぁ嬉しいし、その好意に恥じるような……幻滅されるようなことにならないようにしようと、身が引き締まるのも確かだが。
 ともあれ、フェイト達を喚ばないと……と、別に誰に何を言われた──現状何か言うとしたらアルトリアしか居ないのだが──訳ではないけれど、つい、コホンと咳払いを一つしてから、改めてスキルを使用する。
 カシャンと割れた球状魔法陣の中から現れたフェイト。「おはよう」と挨拶を交わしてた後、直前まで彼女のことを考えてしまっていたからか、つい彼女の姿を眺めてしまっていた。
 今日のフェイトは、白いセーターに、ブラウンベースでチェック柄の膝丈のプリーツスカート、黒いタイツと、冬の装いだ。
 ……と、流石に不躾すぎたか、視線に気付いたフェイトが「どうしたの?」と小首を傾げた。

「いや、フェイトの私服姿をしっかり眺めたのって、久し振りなきがするなって思ってさ」
「ん……学校があるときは大体制服だし、迷宮内だとすぐにバリアジャケットになるもんね」

 俺の言葉に答えたフェイトは、「どう?」と両手を軽く広げて見せて、クスクスと笑った。

「そうだな……全体的にモノトーンな雰囲気が冬のイメージに合っていて、落ち着いた感じがフェイトに良く似合ってると思うよ」
「ぁぅ……その、ありがとう。……う~……」

 感じるままに褒めそやしてみると、照れて顔を赤く染めるフェイト。可愛らしい様子に頬が緩む。
 そんな俺の様子に気付いたのか、「もうっ」と言いながらそそくさと隣に並ぶと、手を握ってくる。……さっさとなのはを喚べってことかなと思って軽く視線を向ければ、同じタイミングで見上げてきたフェイトと目が合って。
 何となく逸らせずにいたのは、彼女もだろうか。数秒間そのまま見つめ合った後、二人同時に吹き出して笑って──なのはと、今日のサブパートナーのはやてを喚ぶのに、また少し時間を要してしまった。いけないいけない。



……



「えー、そんなわけで、本日の予定ですが」

 そう前置きして、フェイトとなのは、はやてとリインフォースの四人に話を切り出す。
 ここで言う「本日の予定」は、『蓄魔石』への魔力籠めについてだ。
 まずは、半ば事後承諾みたいな感じになってしまうし、地味な作業で申し訳ないけれど、これはフェイトとなのはにも協力して欲しいと頼むと、二人は「もちろんだよ」と異口同音に了承してくれた。本当に有り難い。
 頼まれた以上やらねばならないことで、かつ規定量は無く「出来るだけ多く」が条件……である以上、今回の召喚の時間は、この『蓄魔石』作りがどれだけのペースで出来るのかを確り確認しておきたい。
 けれどここで問題になるのが、彼女達を喚び出す前に考えていたように、現状はやてはこの作業を行えないと言うこと。つまりは、これをやっている間手持ちぶさたになってしまうわけで。……まぁこれはアルトリアや咲夜達の時にも係わるんだけど……そっちはその時にまた話すことにする。
 と言うことを踏まえて相談すると、何やらはやてが言いたそうにしているので、水を向けてみると、

「なぁ葉月さん葉月さん。実は昨日なー、シャマルに魔力の籠め方教わって来たんよ」

 アハハと笑って、その時は上手くいかんかったんやけどなー、との言葉が返ってきた。
 ……ふむ。そう言うことなら。
 「じゃあ今回は、練習がてらやってみる?」と訊くと「ええの?」と目を輝かせたので、もちろんと返して──あ、そうだ。

「ただ、練習はこっちでやってみようか」

 と、取り出して渡したのは『核の水晶コア・クリスタル』。
 はやては「はーい」と返事をしつつ、渡された『核の水晶』を翳して覗いてみたりしている。

「これって、葉月さんの武器をパワーアップさせるための物やよね? これでやるんは何でなん?」
「こっちの方が結果が判り易いかなって思ってね」

 どう言うこと? と小首を傾げるはやてにちょっと待ってもらい、こちらのやり取りを聞いていたフェイトに『核の水晶』を三つ程渡した。

「フェイト、悪いけどそれぞれ籠める魔力量を変えて創ってみてもらえる?」
「あ、なるほど、解ったよ。ちょっと待ってね」

 どうやら俺の意図を察してくれたらしいフェイトが『核の水晶』へと魔力を籠めていき……そうして出来上がった物を並べれば、一目瞭然だ。
 フェイトの魔力が籠められていて、それぞれが綺麗に金色に輝く『核の水晶』だが、そこに籠められた魔力量に比例して、輝きの濃度が違う。念のため『アナライズ』で鑑定してみると、輝きの弱いものから順に『核の水晶・雷』、『核の水晶・雷鳴』、『核の水晶・轟雷』と変化している。
 ……と言うわけで、見た目と鑑定結果で判別できるからと説明すると、はやては「なるほどなぁ」と頷いた。

 それじゃあはやても納得してくれたことでと、俺達は『蓄魔石』作り、はやては『核の水晶』へ魔力を籠める作業を行っている。リインフォースははやての様子見及びアドバイスだ。
 ソファで囲むテーブルの上、それぞれが座る前には、魔力を籠められた後の『蓄魔石』が置かれていっている。
 以前に俺が籠めた時は、俺の魔力光である藤色になっていた訳だが、フェイトが籠めた物は金色に、なのはが籠めたものは桜色に、それぞれ変わっている。
 一方ではやては──「うぬぬぬ」と唸りながら頑張ってるものの、まだモノにするには至っていない。

「一度ユニゾンして試してみたらどう?」
「ん~……それも考えたんやけど、何か負けた気がするから、もうちょいこのまま頑張りたいなぁ……あ、けど葉月さんとしては、早う造って武器を強くした方がええんよね?」
「それなんだけど……正直今は、次の戦いの前に剣の『合成』をするか迷ってるんだよな」
「わたしの時保留したみたいに、剣が変な風にならないか心配して……とか?」

 はやてへの俺の答えに疑問を呈したなのはに、「正直そこはもう心配してないよ」と返すと「それじゃあ、どうして?」と訊かれたので、理由を説明していく。

「『第四層』で俺達が救援に入るまえに、長良さんが『ハイ・アナライズ』で情報を取得したみたいでさ。それによると『腐竜・ザーランド』の弱点は『光』と『火』らしい。
 で、俺が使ってる剣……『ディバイン・ブレイド』だけど、これは前身の剣になのはが造ってくれた『核の水晶・烈光』を合成して造ったもので、『核の水晶・烈光』は光属性の上級品。……つまりは、『ディバイン・ブレイド』はその名前の通り“光属性を帯びた剣”であると見てるんだ。正確に言うと『ライトニング・エッジ』からの派生だから、雷と光の二重属性かもしれないけど」

 まぁこの剣を創ったときは、丁度今のメンバーだったから大丈夫だと思うけど、ここまでは良い? と訊くと、四人とも首肯する。

「そして『ディバイン・ブレイド』を『アナライズ』した際に出た説明文によると、この剣が次に求めているのは“闇の意志”なんだよね」
「あ、解った。つまり今の“光属性を帯びた剣”に“闇属性の力”を合成したら、光属性が無くなる可能性がある……ってことだよね?」

 なのはさん正解です。

「そう。なので、今回に関して言えば合成しない方がいいのかな……という考えがあってさ。まぁ逆に“雷と光と闇の三重属性”になる可能性もあるけど……その場合も、ザーランドは闇属性に耐性があるらしいから、結局のところ、弱点を耐性が相殺してしまうと思うし」

 とりあえず、以上が理由です、と締める。

「なんにせよ、決戦までにはやてを喚ぶ日はもう一日あるから、少なくとも今日は慌てる必要はないよ」
「ん、了解や。それじゃあ今日はこのまま頑張らせてもらうね」

 けど、すぐ出来るようになってみせるからなーと言うはやて。
 気合十分、彼女なら本当にすぐだろうなと思わせられた。
 ちなみに、『蓄魔石』の方は一時間で一人平均十五個ぐらいのペースだった。この分なら、かなりの量が用意できるだろう。
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