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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

Phase99:「撤退」

 四翼二頭を持つ腐竜の眷属の下方に回り込んだフェイトが、身体を一回転させ、その勢いのままザンバーフォームのバルディッシュを振り抜く。
 それにより発生した飛ぶ斬撃──ブレードインパルスが胴体に直撃し、比較的大きめに見えるダメージを与えるも、切断には至らない。その上その傷は、傷口が蠢いたかと思うと、すぐに塞がってしまった。
 先日の闇の書の闇との戦いにおいて、今の攻撃は砲撃触手──本体から伸びた大きなものでは無く、周囲に出現した小さなものだが──を纏めて幾つも両断したが、あれよりも防御力は高いようだ。ともあれ斬れない訳では無い。
 攻撃の間も戦闘機動を止めている訳では無いフェイトは、そのまま眷属の下をくぐり抜ける。
 一方で攻撃を受けた眷属は、直後にフェイトに向けてその二つの口腔を開き──ドゥッっと、不可視の何かが発射されるも、速度に勝るフェイトには当たらず、その後ろを通り過ぎて大地に激突。砂塵を巻き上げた。

「今のは……」
《Probably the thing which is similar to a shock wave.》
「衝撃波……聞いた話には無かったよね。使わなかったのか、今使えるようになったのか……どっちにしろ皆にも気を付けるように言わないと」

 バルディッシュの報告を聞きつつ、眷属に向けて、新型の射撃魔法であるプラズマランサーを撃ちつつ通り抜けるフェイト。
 同時に、フェイトと反対側……敵の背中側から爆裂音が聞こえた。なのはの攻撃だ。
 それにより敵の姿勢が崩れて横向きになり、首の一つが上方へ向く。
 フェイトはそのまま旋回し、敵に向かって接近。肉薄しつつバルディッシュを一閃。脚の一本を切り落とした。
 本来であれば胴体を斬り付けるつもりであったフェイトだが、彼女の接近に気付いた敵が急制動を掛けたための結果だ。
 「ガアアッ!」と吼える腐竜の眷属。痛み……ではない。苛立ちのようだと感じ取ったフェイトは、腐竜から生まれた眷属である以上、これもまたアンデッド属性……痛覚が無いのかな、と結論づけた。攻撃を加えても怯まないと言うのは、中々に厄介だ。
 その間も撃ち放たれる衝撃波を躱しつつ上昇。バルディッシュをクレッセントフォーム──以前までのサイズフォームに相当する──に変え、カートリッジを二発ロード。

「クレッセントセイバー!」

 生成された魔力刃を飛ばして攻撃する。
 先程斬り掛かった時のように、相手は命中する直前で軌道を変えて避けるが、誘導制御された刃は追尾するように動いて命中。続いてフェイトに追撃するように、今度はなのはが短距離速射砲のショートバスターを撃ちながら接近、命中させつつ通り抜ける。
 それにより、先程とは逆に今度はなのはが下、フェイトが上に位置取りし、ほぼ同時に急制動を掛けた。
 息の合った接近と離脱、攻撃のタイミングに、敵の動きが一瞬止まり──

「ロック!」

 その隙を見逃さないとばかりに、フェイトとなのはのバインドが、腐竜の眷属を空中に縫い止める。

「コンビネーションツー、バスターシフト!」
「シュートッ!」

 タイミングを合わせ、上下から挟み込むように放たれた砲撃は、バインドによって動きを押さえ込まれ、避ける術を持たない敵に直撃した。


◇◆◇


 俺と咲夜が相対した腐竜の眷属は、体高が恐らく二メートルと少しぐらいだろうか。四足歩行の腐ったドラゴン、と言った風貌だった。昨日稲葉さんから聞いた話から想像するに、『腐竜ザーランド』はこれを巨大にしたような感じなのだろうか。
 敵にディバイン・ブレイドを向けると、一瞬怯んだような様子を見せる。
 訝しげに思い、アナライズを掛け、隙を作らないようにザッと流し見ると、弱点の項目に『光』とあった。
 ディバイン・ブレイドは、ライトニング・エッジになのはが創ってくれた『核の水晶コア・クリスタル:烈光』を合成して出来たものだ。それから考えるに、この剣が持つ属性は『雷』と『光』の二重属性。なるほど、弱点属性の武器を前にして怯んだか……と考えたが、果たしてそれだけで敵が怯むだろうかとも思う。
 ……まぁ考えるのは後だ。今は、俺の持つ武器が目の前の敵に効果がありそうだという事実だけ把握しておけば良いか。
 意識を切り替え、大地を踏み込み、前に出る。砂に足を取られ、やはり動き難い。
 俺の接近に合わせた、首を振っての殴打を姿勢を低くして躱す。
 過ぎざまに斬り付けようとしたところで、敵がそのまま身体を回し、尾で薙ぎ払おうとしてきたので攻撃を止めて跳躍。上下に反転しながら飛行し、頭の下を過ぎる尾に合わせて剣を振るうと思った寄りも深く切れ、剣身が纏う紫電が傷口を焼いた。今の行動の際に最初に掛けたバインドを破ったのだろうが、そのために相手の行動が鈍ったので、余裕を持って回避が出来た模様。
 姿勢を制御して着地し、すぐに低空飛行へ。体当たりで押しつぶそうとしてきたのを躱すと同時に、フォトンランサーを数発喰らわせて牽制する。
 敵が「ガァッ!」と吠え立てながら再びこちらに突っ込んでこようとしたところで、その顔の側部に、今度は咲夜が放った付喪神の小剣が突き立つと妖力が膨れ上がり爆発を起こした。
 その隙に少し離れ、足元に魔法陣を展開して足場にし、剣身を砲身に。
 何かを感じ取ったのだろうか、直前に攻撃を加えた咲夜ではなく、あくまでも俺に向かって来ようとする腐竜の眷属。だが、動こうとする度に、その足や首、顔などに、咲夜が放った霊力弾やナイフが当たり、行動を阻害してくれた。
 その間に可能な限り魔力を籠めて魔法を構築──撃ち放つ!

「サンダースマッシャー!」

 剣が帯びる雷属性により雷撃変換が為された砲撃魔法は、咲夜の妨害を抜けてこちらに向かって来ようとしていた腐竜の眷属に、真正面から直撃。魔力による爆発を起こした。
 すぐに追撃に移るため……とは言え正面から突っ込まないよう、少し左に回りながら、敵に向かって飛ぼうとし──

「……あれ?」

 首の付け根から上を失った敵がその場にドゥ、と倒れたのを見て、動きを止めてしまった。
 俺と同じく追撃に入ろうとしていた咲夜もまた、同じように驚いた様子を見せて、「倒しちゃいましたね?」と小首を傾げる。
 少し様子を見ていても、再び動き出す様子は無い。試しにフォトンランサーを一発当ててみても同様だ。……他の階層のモンスターのように魔力に変わらないのは、アレがザーランドから生まれた眷属だからだろうか?
 確かに、出来るならばこれで決めるつもりで撃ちはしたが、まさか本当に仕留められるとは思っていなかったが……そう言えば、さっき斬った際も随分と刃の通りが良かった気もする。何か理由が──あ、もしかして、と考えたところで、上空から聞こえた爆音に思考を中断する。
 ……っと、今は取り敢えず置いておかないと。
 音の方を見れば、健在なフェイトとなのは。そして地上に落ちていく恐らく敵だったろう物体。流石だな。次いで周囲を見回すと、アルトリアは既に仕留めて周囲を警戒しており、ワイズマンさん達の方も無事に終わりそうな雰囲気だ。
 砂塵の奥を窺うと、追加で現れた三体は時期に到達しそうな速度でこちらに向かっているし、その更に奥には新たにいくつかの影が見える。その中でも一際大きな……ザーランドと思わしきものからは、殺気とも怒気とも感じる、濃密で凄まじい気配を感じ、まるで砂塵の結界を越えてこちらに来ようとしている気がして……いや、気のせいじゃないな。実際にこちらに向かってきているようだ。……不味いな。
 さっさと撤退するため、咲夜とアルトリアに声を掛け、ワイズマンさん達へと加勢に向かった。



……



 その後すぐに敵を倒し終えた俺達は、その場を離脱する。
 途中追加で現れていた三体の陸上型眷属に追い付かれたが、ガーネットの広範囲攻撃魔法とフェイトとなのはの砲撃魔法で、肉薄されるまえに撃滅に成功。その後は敵が追い付いてくることは無かった。
 しばらくして、入り口であるストーンサークルに戻ったところで稲葉さん達と合流。彼等にも“思考誘導”のことを話してみると、その時点で気付いた・・・・ように、目を見開いて驚いて……どうやら、“指摘されれば気付ける”感じではあるらしい。けれど指摘されるためには、指摘されることなく気付ける人が必要、と……本当に厄介だな。
 その際にワイズマンさん達に、先程ザーランドから感じたものを話すと、それを聞いたガーネットが眉をしかめて、俺と弥生に一瞬視線を巡らせて「ヤばいわね……」と呟いた。

「色々話したいこともあるけど、今は一度この階層から出た方がいーと思うわ。長話してたら、多分ザーランドがここまで来るから」
「ガーネット、それはどういうことだ? ……先程も思ったが、お前は何を知っている?」
「落ち着いて、アル。それも含めて……そうね、明日ルディエントで話しましょーか。詳しい場所と時間は後ほど……ってわけでやよっちのおにーさん、端末のIDくださいな」

 ワイズマンさんの追求を躱したガーネットは、俺に連絡先を聞いてきた。……これはつまり、『明日の話』に俺も参加ってことかね。まぁ、望むところか。
 ガーネットと、一緒にワイズマンさんと弥生にも端末のIDを伝え、

「色々と話したいこともあるけど、取り敢えずは『明日の話』が終わってからだな」
「そうですね。ともあれ兄さん、無事で良かったです」
「ホラホラ、特におにーさん、アナタが一番狙われてる・・・・・んだから、早く早く」

 弥生と言葉を交わしたところで、ガーネットに急かされた。
 ……なるほど、確かに彼女は何かを知っているようだ。どうやら明日は、色々と・・・解りそうである。


◇◆◇


 紅魔館。
 そこの主人であるレミリア・スカーレットは、いつものように、咲夜からの報告を受ける。
 色無き砂漠。腐竜。眷属。随分と、楽しそうなことになっているようだ。
 咲夜の報告を聞くだけでも、良い暇つぶしにはなる。なるけれど……。

 ──流石にちょっと、物足りなくなってきたわね。

 故に彼女は──一つ賭けをしてみることにした。
 上手く行けば、面白い事になる。上手く行かなければ、まぁ変わらないだけ。悪くなる……ことは無いとは言わないけれど、そうなったらそうなっただ。

「ねえ咲夜。お願いがあるのだけど」
「はい、何ですか?」
「次に“彼”に会った時に、一つ確認して欲しいことがあるだけよ──」

 楽しみね。あぁ、本当に、楽しみ。
 吸血鬼の幼き女王は、クスリと笑う。
 ──自らねじ曲げた・・・・・運命が、どう転ぶのか──本当に、楽しみだ、と。
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