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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

拍手お礼@HOD

 『世界門ワールド・ゲート』をくぐって最初に眼に飛び込んできたのは、“動く死体ゾンビ”のどアップだった。


「うおおおああ!?」
「うきゃああああ!?」

 思わず叫んでフィアを抱えて跳び退ると、先程まで俺が居た場所に覆いかぶさるように倒れ伏しているゾンビ。
 アレは……襲いかかられたってことで良いんだろうか。

「何……だありゃ?」
「ゾンビ……と言うやつでしょうか?」

 ぼそりと漏れた呟きにナナシが答える。まぁ見た目からしてそう思うよな。
 そんな俺達の声に反応するかのように、ゾンビはうめき声を上げながらゆっくりと起き上がり、こちらへ向かって来る。

(おい、あやつ、どうやらこちらの音に反応しているようだぞ?)

 ゾンビの様子を見て取ったレーメからの念話に頷き、周囲を見回して──周りに同じようなゾンビが山ほど居る上にこちらに向かってきている事に気付き、冷や汗を流す俺達。
 とりあえず音を立てないように、フィアを横抱きにかかえて──俗に言うお姫様抱っこである──ゾンビ達から離れるように、永遠神剣によって強化されている脚力を持って跳ぶ。
 着地音で一部のゾンビが気付いたのか、ゆっくりとこちらへ向かって来てはいるが、まだ少し余裕はありそうだ。
 取り敢えず現状を把握するため、改めて周囲を見渡す。
 ……明らかに学校である。しかも日本っぽい。
 ……日本、ゾンビ、音に反応、俺が知っている作品、と考えて思い至った。

(……あー……『学園黙示録ハイスクール・オブ・ザ・デッド』かよ、ここ……)
(何といいますか……あの見た目はきついですねー)

 苦笑いを浮かべるフィアの念話に、ナナシとレーメと共に頷きつつ、そろそろ間近に迫ってきていたゾンビ──いや、『奴ら』をとりあえず倒そうかと思った所で──。

「…………へ?」

 ズガン!と音を立てて、突っ込んできたマイクロバスが『奴ら』を跳ね飛ばし、止まったバスのドアが開いて、学ラン姿で中肉中背な男子学生が顔を出した。

「おいアンタ! どこの学校の奴か知らないけど、ここは危険だから乗れ!」
「お、おう?」

 どこの学校って所に疑問を思いつつ、思わず頷き、乗り込む俺達。あ、フィアを抱えたままだった。まあいいや。
 ああそうか、俺の服装って物部学園の制服だもんな。そういえば。

 俺達が乗り込むと同時に発信したマイクロバスの中には、二人の大人──教員だろう──と十人程か? 学生服姿の少年少女が。
 中の人たちは2グループに分かれていて、一つはこのバスを運転している、金髪ロングのおっとりした雰囲気の女性──確か、保険医の鞠川先生だったか──側。もう一つは、眼鏡を掛けたスーツ姿の、どこか神経質そうな雰囲気の男性教諭──こっちは紫藤だったか?──側。
 ちなみに俺に乗るように声を掛けてきたのは、女性側。恐らく“主人公”の小室孝だろう。
 そんな彼らは、小室が促したとは言え突然入ってきた俺達に、怪訝な視線を送っている。

(いえ、むしろ私とレーメとフィアのせいかと)

 そんなナナシの念話にああなるほどと思い至った。ちなみにナナシとレーメは、いつもどおり俺の肩の上である。動かないようにしているが。
 あれ? 俺って今、両肩に人形……てか、フィギュアを乗せて、メイドさんを抱きかかえた変なやつ?
 今更そんな事実に思い至ったところで、もうどうにも出来ないと半ば開き直りながらフィアを降ろしたところで、

「……もう人間じゃない!」

 と言う鞠川先生の叫びと共に、複数の衝撃。
 校門に群がっていた『奴ら』をまとめて轢き飛ばしたのだろう。大胆だな、意外に。




「何で俺らまで小室達に付き合わなけりゃいけないんだ? お前等勝手に街に戻るって決めただけじゃんか! おまけに変な奴まで拾ってよー!」
 そんなギスギスした雰囲気の叫び声をバックミュージックに、バスはひた走る。
 まあ一割ぐらいは俺達のせいかもしれんが。気にしない気にしない。

(……ところで、現在もてる俺達の力は、どこまで『奴ら』に効くのかね?)
(『奴ら』の耐久力がミニオンほどとは思えませんから、ほぼ全て有効でしょう)
(まぁ、見た目的にミニオンより戦いにくい、と言うか戦いたくないと思ってしまうがな)
(あー……それはありますねー……)

 ナナシやレーメ、フィアとそんな念話をしているうちに、紫藤がリーダーリーダー言い出して、茶髪で、二房だけ触覚のようにぴょんと飛び出したロングヘアーの子──宮元麗だったか、彼女がバスから飛び出し、それを追って小室も降りたところで、暴走したバスが二人とこちらを引き離す様に横転、炎上していた。
 あれ、いつのまにか怒涛の展開。
 そうこうしているうちに、バスは別の道を進むために後退していった。



……
………


 道を変わった結果、見事に渋滞に巻き込まれたバスの中は、現在三つに分かれている。
 一つは紫藤を筆頭としたグループ。現在紫藤が新興宗教よろしく演説をぶちまけているところだ。
 もう一つは鞠川先生側の、主人公グループ。
 運転席の鞠川先生の元に集まる様に、小太り眼鏡で銃器マニア、現在は釘打ち機を銃のようにして武器としている平野コータ、黒髪ロングストレートで長身の、剣術が得意な毒島冴子、赤髪を白いリボンでツインテールにした、眼鏡を掛けた才媛である高城沙耶が話しこんでいる。
 そして三つ目はまぁ、俺達である。
 と、その時だった。
 前に集まっている彼らに対し、紫藤が「どうしたのです、皆さん。ここは一致団結して……」と問いかけた所、高城が「あんたたちに付き合う義理はない」と袂を分かつ発言をした。
 それに対して紫藤は勝手にしろとのたまうが、ジロリ、と鞠川先生をねめつける。

「しかし……あなたは困りますね、鞠川先生! 現状で医師を失うのはマイナスが大きすぎます。
 どうです、残ってもらえませんか? こちらにもあなたを必要とする生徒達がいるのです。なに、居場所さえはっきりしておけば、高城さんたちも困ったときにはあなたを頼りに……」

 くどくどと語りながら、ゆっくりと近づいてくる紫藤。だが、次の瞬間、バシュッという音と共に発射された“釘”が彼の頬をかすめ、その足を止めさせられる。

「ひ、平野君……?」
「外したわけじゃない、たまたま外れたんだ! 毒島先輩、先に降りてください! ぼくが後衛をつとめます!」

 そんな平野の叫びに答えて毒島を初めに高城、鞠川先生、そして平野が降りていく。
 と、不意に平野と眼が合った。……お前はどうする? と訊かれている様で、俺達は顔を見合わせて頷き合うと、彼らに続いてバスを降りることにした。



……
………


 俺達を降ろしたマイクロバスが走り去った後、道の向こうからバイクに乗った小室と宮本が現れ、合流し、鞠川先生の提案で歩いて直ぐの所にある、彼女の友人の部屋に向かうこととなった。
 小室と鞠川先生がバイクで先に様子見に行き、その後を他の皆が歩いて追っていく。
 しばし進むと、手を振っている小室と鞠川先生の姿が見えた。どうやらこの川沿いのマンションらしい。おぉ、ハマーがある。ああ、しばらくはコレにのって行動するんだっけか。
 と、そのマンションの各部屋から『奴ら』が現れ、塀の向こうに群がり出した。
 とりあえずこのマンションに入るために、『奴ら』を排除しようとしたところで、ようやく俺達の方へと視線が向く。さすがに『奴ら』と戦う事になるに当たって、無視するわけにもいかなくなったのだろう。

「……で、人形のっけてメイドを連れたアンタは何なのよ?」

 そう訊いてくる高城に、はて、と考えてから、ああ、名乗ってすらいなかったな、と思い至る。

「あぁ、俺は青道祐。で、彼女が」
「フィアです。お見知りおきを」

 もうすっかり板についた、流麗なと言えるほどの挨拶をぺこりと行うフィア。
 ……うん、彼等ならいいか。

「ナナシ、レーメ、もういいぞ」

 突然そんなことを言った俺に、訝しげな視線が集中した。
 その時、俺の両肩に座っていたナナシとレーメが、「はい」といいつつふわりと浮かび上がる。

「ナナシと申します」
「レーメだ。よろしく頼む」

 ぴしり、と固まる彼等。
 痛いほどの沈黙が落ち、あああぁぁ~と言う『奴ら』のうめきだけが響いて。

「………………は?」
「…………ええええええぇぇぇ!?」
「な、なによそれえええ!!」

 おー、いい反応。
 その反応の良さに、思わずクッと笑みが漏れると、高城がこちらをキッと睨みつけてきた。

「あ、アンタ! 一体何なのよ!?」

 それは正に、今の彼等全員の想いを代表した問い。
 俺はそんな彼等の顔を一つ一つゆっくりと見回して、

「……改めて自己紹介しよう」

 そう言いつつ、周囲の空間に『観望』を散布し、満たしていく。そして同時に手元に顕現させた『観望』を通じて、その周囲に散布した『観望』へとオーラフォトンを流し込んで行き──。
 ゆっくりと右手を挙げ、

「……『バロールの魔眼』」

 それを振り下ろすと同時に、臨界に達したオーラフォトンが『観望』から発せられ、塀の向こうに群がる『奴ら』を一斉に打ち抜く!
 その光景に呆然とする彼等へ一礼し、俺は再び名乗りを上げた。

「俺の名前は青道祐。……ただの通りすがりの魔法使いさ」



こちらはかつて置いていたweb拍手のお礼画面に設定していたものですね。
『調和』を所持していない時に書いたものですので、所持真剣が『観望』になっています。
強いて本作中に当てはめるなら、『精霊の世界』の戦いを終えた休養中、ワールドゲートを実際に使ってみる実験をした、等でしょうか。
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  1. 2015/12/21(月) 00:25:21|
  2. 永久なるかな ─Towa Naru Kana─
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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お帰りなさい

久しぶりに来てみたら更新されてた(神)剣……違う「件」。懐かしの話、即読みしました。

ぜひ、この世界にハーレムメンバー連れてもう一度来ましょう。神剣使いばっかなあの面子なら、この世界はアトラクション(お化け屋敷的な意味で)みたいなもんでしょうし。
ユーフィに抱き着かれる祐・・・・・・うん、殺意が湧いてきますね――うん、オーラフォトンノヴァ。
おbsnに抱き着かれ――タイム・アクセラレイト。

最後にネタですが、お暇があれば「夢幻の残響」をググってみましょう。すると「むげんのざ」あたりまで入れると、予測検索に恐怖の検索結果が出てくることに気がついてしまいました。。。

なんだよ、「無限の残業」って。。。。
  1. 2015/12/21(月) 23:51:54 |
  2. URL |
  3. ルーフェ #-
  4. [ 編集 ]

更新お疲れさまです!

こうやって他作品とクロスするのも面白いですよねー。この先どうなるのか想像するともう・・・

これからはハーメルンでも投稿するということでそちらでも楽しみにしてますし、今後の更新も首をながーくして楽しみにしてます。
後、体に気をつけていきましょう!少し早めのメリークリスマス!
  1. 2015/12/22(火) 22:44:04 |
  2. URL |
  3. 山人 #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

Re:

>>ルーフェ 様

感想ありがとうございます。
最終メンバー全員引き連れてHOTDの世界に行ったら、とりあえず周辺の『奴ら』は殲滅ですよね。安全確保は余裕です。
神剣使い9人。うちエターナル4人。過剰戦力!

そして『無限の残業』。なにそれこわい。


>>山人 様

感想ありがとうございます。
次の世界は~みたいな展開は、導入部はそれなりに想像できるんですけどね。続けると考えた場合、とたんに難しくなる不思議。

ハーメルンさんの方は、なるかなは完全に転載のみ、迷宮も出来ている分は順に、追いついたら同時更新って感じでしょうか。
とりあえず書かな……。
  1. 2015/12/22(火) 23:03:01 |
  2. URL |
  3. 風鈴 #V.Bbj6F2
  4. [ 編集 ]

お疲れ様&あけおめですね。

一身上の都合で病院送りになり、約一月の間ネットに触れることができなかった・・・・・・・・・

気が付けば「艦これ」は、大佐に下がるし、「ぷらねっとき~ぱ~」には、「流転の惑星」に行きかかれるし・・・・・・・・・

まあ、体は無事でなりよりなので”よし”としましょう。
なるほど『学園黙示録』ですか~

ハーレムパーティーなら同じゾンビがいる「アーカムシティ」に行って欲しいですね。

あそこならスーパーロボットでも倒せるじゃないですか。
  1. 2016/01/03(日) 00:59:28 |
  2. URL |
  3. 通りすがりの自由騎士 #-
  4. [ 編集 ]

Re:

>>通りすがりの自由騎士 様

病院送りとは、それはまた……現在はお加減いかがでしょうか。

アーカムシティってなんだっけ……と思って調べたら、出てきたのは……バットマン。
あいや、デモンベインですね。
とまあ、ぼんやりとしか知らないことが露呈してしまっていますが。
モチーフがモチーフ(クトゥルー)なだけに、収拾が付かなくなりそうな予感もします。
  1. 2016/01/06(水) 01:45:14 |
  2. URL |
  3. 風鈴 #V.Bbj6F2
  4. [ 編集 ]

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