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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

番外:手紙

 某世界某所にある『悠久のユーフォリア』の自宅にて。

 両親である『聖賢者ユート』と『永遠のアセリア』がくつろいで居ると、不意に玄関の扉を叩く音が聞こえてきた。
 来客を告げるノックの音に立ち上がり掛けたアセリアに「俺が出るよ」と告げて、玄関へと向かった悠人。彼が扉を開けるとそこには見知った顔があった。

「……ローガス? どうしたんだ、急に?」

 そこに居た人物──カオス・エターナルのトップである『運命のローガス』──に、「まあ入れよ」と声を掛け、中へ通す悠人。

「うん、お邪魔するよ」

 そう言ってリビングに通されたローガスは、懐から一通の手紙を取り出し、悠人とアセリアへと見せる。
 二人が「何の手紙だろう?」と疑問を顔に浮かべ、そんな二人にローガスが何とも楽しそうな顔をしながら言葉を紡いだ。

「トキミから報告が上がってきてね。彼女にはユーフォリアと会えたら、一応報告するように頼んでおいたんだ」

 そのローガスの言葉に、「そう、トキミが……」と小さく言いつつ微笑みを浮かべるアセリアに対し、悠人は「何だって!? それで、時深はなんて!?」と、勢い込んでローガスへと詰め寄った。
 そんな悠人に苦笑を浮かべつつ、ローガスはまあ落ち着いて、と宥めつつ、

「実は僕もまだ内容は確かめて無いんだよ。折角だし、どうせなら二人と一緒に見ようと思ってね」

 そう言いつつ、その場で開封し、中から折りたたまれた和紙らしき紙を取り出す。
 アセリアはローガスの言葉に「ん。じゃあお茶を淹れてくる。待ってて」と台所へ向かい、その間に一度手紙にさっと目を通したローガスは、その表情に驚いたものを浮かべ、直後楽しそうに「くくっ」と声を抑えて笑い出した。
 そんなローガスの様子に、訝しげな表情を浮かべる悠人。
 そこにアセリアが戻り、各々の前にカップを置いたところで、ローガスが口を開いた。

「……うん、ユート。落ち着いて聞いて欲しいんだ」

 そう言ってから、一度お茶で口を湿らし──そう、まるで悠人が緊張を落ち着けようとお茶を口に含むのを待っていたかのように──言葉を続ける。

「トキミが言うには、ユーフォリアは何やら、『兄』と慕う人物の腕に抱きつくようにしながら、彼女の前に現れたそうだよ」
「ブフゥ!! ……げほっゴホッ!」
「……ユート、汚い」
「くっ……あははははっ!」

 案の定と言うか、お茶を噴出しむせ返った挙句、アセリアにじと目で怒られる悠人。
 そんな彼の様子に、ローガスは今度は声を抑える事無く笑い出す。

「す、すまんアセリア。……ったく、ローガス……タチの悪い冗談は止めてくれ」

 ローガスの様子に、悠人は自分をからかうために言った冗談だろうと判断し、はぁっと溜息を吐きながら文句を言うが、彼に返されたローガスの言葉は残酷だった。

「いや、ユート。悪いけど今のは冗談でも何でもなく、事実だよ?」
「え゛?」

 そんなばかな、と、ダラダラと冷や汗を流しつつ、「ちょ、ちょっと見せてくれ!」とひったくる様に手紙をもぎ取り、ざっと目を通す悠人。
 直後、驚愕に目を開かせた彼の表情は、言い表せぬ程にどんよりとしたものへと変わっていく。

「ゆ、ユート? どうした? ユーフィーは何て?」
「ふっ……ふふっ……ふふふふはははははは」

 その悠人の余りの様子に、アセリアが焦った様に声を掛けるが、彼はまるで石化したかのようにピクリとも動かず、ただ乾いた笑いを上げ──。

「……よし、アセリア……この時間樹に行こう。今すぐ行こう……ユーフィイイイイ! 俺は認めんぞおおお!!」
「はい、ストップ」
「へぶしっ!」

 おもむろに立ち上がって玄関へ走り出したところで、ローガスに足を引っ掛けられて盛大に突っ伏したのだった。
 アセリアは床に落ちたその手紙を拾い、目を通すと、くすりと小さく笑みを浮かべた。
 少し寂しく感じるけれど、より大きな喜びを感じる。どうやら、ユーフィーはしっかりと成長しているようだ、と。
 時深は記す。「彼女からは、強い想いと、覚悟を感じました」と。
 ……そこには、そのとき行われたある程度のやり取りと、ユーフォリアが時深に、『兄』から離れるように言われたときに発した言葉が、しっかりと書かれていた。


『あたしは……祐兄さんと一緒に居るって、決めてますから!』


 そう──それは、眩しい程に輝き、燃える、強い想い。

「……ん。ユーフィー、がんばれ」




……
………



「……ん? ローガス、こっちはローガスに」

 アセリアからすっと差し出された、一枚の手紙。時深が書いたのでは無いと明確に解る筆跡の違い。それを受け取ったローガスは、先程の悠人のようにぴしりと固まる。

 ──『運命』とその担い手の小僧へ。此方が終わったら“礼”に往く。

 それは署名も無い、ただ一行の文。
 だがローガスには……『誰』が書いたのか、何となく解ってしまった。彼のことを“小僧”などと呼ぶ存在がどれほど居るというのか。
 なんとも、どうなっているのやら。
 まるで“何か”に呑まれてしまったかのように、何故か見えない『運命』に、怒と哀の感情が無い少年は、それでもなお感じる悪寒に大きく溜息を吐いたのだった。
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  1. 2015/09/14(月) 23:32:07|
  2. 永久なるかな ─Towa Naru Kana─
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

読んで頂いたごとく、時系列的には初めて時深さんに会ったあと、ですね。
残念ながら最後の部分は、祐達が“渡って”しまったために立ち消えになってしまいました。残念。
  1. 2015/09/14(月) 23:40:43 |
  2. URL |
  3. 風鈴 #V.Bbj6F2
  4. [ 編集 ]

全くもってユートパパは・・・

お前はアセリアがいるだろうとツッコミしたくなりますね。

しかもあのローガスが慌てるのは珍しいですね。
  1. 2015/09/15(火) 00:53:18 |
  2. URL |
  3. 通りすがりの自由騎士 #-
  4. [ 編集 ]

Re:

>>通りすがりの自由騎士 様

感想ありがとうございます。
ユーフィーは眼の中に入れても痛くない程可愛い娘ですからね。仕方ない。
  1. 2015/09/27(日) 16:13:16 |
  2. URL |
  3. 風鈴 #V.Bbj6F2
  4. [ 編集 ]

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  1. 2015/11/14(土) 16:27:03 |
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