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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

永遠神剣之章:16.合流、二人。

 グルン・ドレアス城砦都市。元アイギア王国王都にして、現グルン=ドラスの首都。
 それ故に、これまでで尤も多くの鉾と兵が迎え撃ってくるであろうことは明白だ。でも、進まなくちゃいけない。この世界の人たちの為にも、俺達の為にも。

 案の定、とも言うべきか、最初の拠点であるラハーシアを目指す俺達の前に現れる大量の鉾達。それでも慎重に、そして順調に進む俺達だったが、そんな中、俺はずっと妙な感覚を覚えていた。
 ……この間隔には、何となく覚えがある。そう……あの時……あの“夢”の中で感じていたモノを、もっと薄めたような──。

「……視られている……」
「……マスター?」

 思わず漏れた声を聞きとめたナナシが疑問の声を上げたが、頭を振って何でもないと返しておく。
 ……けど、間違いない。一挙手一投足を、行動の全てを、俺の何もかもをも見極めんとするかの様な『気配』。

「ち……っ」

 つい舌打ちしそうになって、堪える。そんな事をしても『これ』が消えるわけじゃないだろう、むしろ、ナナシとレーメに不安を与えるだけだ。

「……ところでマスター、先程から感じるこの、我々を観察するような『気配』について、何か心当たりは?」
「うむ、吾も気になっていたところだ。……これだけ無遠慮に視られると、さすがに不快になるぞ」

 ……と思ったら、どうやら対象は“俺達”の様で、2人もまたずっとこの感覚に晒されていたらしい。

「あー……あれだよ、俺が気を失ってるときに、俺の精神に接触してきた奴。多分な。……ま、今は気にしてもどうする事も出来ないし、先を急ごう」
「…………わかりました」
「…………うむ」

 正直気になるってレベルじゃないんだけどな。……要するに鬱陶しいことこの上ないんだが、今2人に言ったようにどうする事も出来はしないのが現状である。
 そんな訳で俺達はとりあえず、その『気配』を意識の外に無理矢理追い出し、先を行く皆の背を追った。
 ちなみに、二人との会話が念話じゃないのは、その存在がバレタ時点で隠れるのをやめたからだ。
 あれ以降、二人はほぼ常に俺の両肩に座っており、お陰でまあ色々な視線で見られるようになってしまった。……ま、俺としてはいつも隠れていてもらうのは申し訳なかったし、俺自身が他人からどう思われても別になんてことは無いんだが。
 幸いにして、と言うべきか、ナナシとレーメの2人に対しては、『珍しい』と言う感じの視線は多くありつつも、2人の容姿の可愛さからか、否定的な言葉が出る事は無かったのでよしとしている。世刻って言う前例があったのが一番大きいかもしれないな。
 フィアに関しては、彼女は基本、箱舟から出てくる事は少ないので問題はないんだけど、あの時のメイドさんはいつもどこに居るんだ? と聴かれて困る事は幾度か有った。彼女の存在が知られるのは構わないけど、箱舟の存在が知られるのは遠慮したいので、適当に誤魔化して済ませたが。
 ああでも、ルゥ以外の、箱舟に入った事の無いクリストの娘達は、ちゃんと約束通り招待させてもらった。
 ルゥ同様に、結晶体から出て居心地が良いと喜んでくれたのには……うん、招待して良かったと思っている。

 まあそんな事を考えている間も事態は動いているわけで。
 何だかんだで着実に敵を倒し、ラハーシアを占領していた。
 随分と人事だなって? ……いやまあ、例の『気配』で少々散漫になってるってのもあるんだが……どうやら箱舟でたっぷり英気を養えたらしく、クリストの皆がかなり張り切ってくれていたので、余り俺の出番はなかったんだよ。哀しい事に。
 それにしても、俺達を“監視”する『気配』は、時間を追う毎に段々その強さを増している。……まったく、俺の何がこの視線の存在の琴線に触れたんだか。
 そんな中、一時の休憩を得た俺達の下へ、伝令の兵が飛び込んできた。その内容は、先にあるレジアシスの街からの鉾の増援が迫ってきた、と言うもの。なんつーか、解っちゃいたが、こうぽこぽこ湧いて出てこられると正直辛いな。
 やれやれ、と溜め息を吐きつつ報告を受けるカティマに視線を送れば、カティマは己が突破口を開くといって飛び出そうとし、世刻が自分も行くといって一緒に飛び出して行った…………って、おいおいおい。

「ちょ、待ちなさい、もう!」
「カティマさんって、結構思い込んだら突き進むところ、ありますよね」

 きっと俺と同じ気持ちだと思われる、斑鳩と永峰、クリスト達とともに、何というか、もう少し落ち着けと言いたい二人を追いかけるために飛び出した。



……
………


 2人に追いついたとき、既に戦闘は終わりそうだった。
 敵の数が少なかったってわけじゃなく、見知らぬ2人が世刻達に加勢していたからなんだが。
 見知らぬとは言っても、あれが誰かぐらいは解ってる。アズラサーセでカティマが寝込んでいなくて、足止めを食らっていたわけじゃないから、タイミングがずれるんじゃないか、なんて思っていたが、どうやら問題は無かったらしい。……間違いなく、斑鳩の仲間のタリアとソルラスカだろう。斑鳩が驚いた顔してるし。

「タリア、タリアよね!?やっぱりこの世界に来てたのね」

 ……うむ、合ってた。それにしても、戦ってるところをちらっと見れたが、二人とも強いね。まあ、強い人が増えるのは大歓迎だ。
 遠巻きに、会話の進む皆の様子を眺めながら、そんな事を考えていると、不意にタリアと目が合った。
 …………そのまましばし見つめ合う。……いや、別に色っぽいもんは何も無い。ただ何というか、ここで眼を逸らしたら負けな気がする。それだけだ。

「…………ところで沙月、何故神剣の気配も無い一般人が、こんな前線にいるのかしら?」
「まあまあタリア。青道君は確かに神剣は持っていないけど、結構強いのよ?」
「はぁ!?マジかよ沙月?……ぜんっぜんそんな風には見えねえけどなぁ」
「…………」
「む…………」

 ああ成る程、世刻や永峰の情報は事前に受けていたけど、俺はこの旅が始まってからの合流だから知らないのか。
 斑鳩の台詞に反応したのはソルラスカだった。そしてソルラスカの台詞にピクリと反応するナナシとレーメ。

(……マスター)
(どうした?)
(アーツの使用許可を)
(……何で?)
(あの男にマスターの力を思い知らせてやります)

 って、『例の気配』にイライラと言うかピリピリしてるのはわかるが、ソルラスカの言葉ぐらいでそんな不機嫌になるんじゃない。俺が強くないのは事実なんだから。気持ちは嬉しいんだけどな。
 ちなみに今の念話で解る通り、ナナシもアーツを使える。
 レーメもまたしかり何だが、ナナシが機械技術へ特化しているとは言っても、魔法の事を何も知らないわけではない。世界によっては“魔法と科学の融合”なんてのもあるだろうし、当然だろう。それにオーバルアーツと言うもの自体、本来戦術オーブメントとクォーツがあれば、誰でも一定以上の威力で発動できるようになっている物だ。っていうか、そのための戦術オーブメントなわけだし。
 ……寧ろ、その特性上オーブメントを最大効率で稼動させられる分、俺やレーメがただ使うよりも、威力の高いアーツをぶっ放せるんじゃなかろうか?
 今までナナシがアーツを使ってこなかった理由はいくつかある。オーブメントの制御に神経を割いていたり、周囲の状況を把握してもらっていて、適切なアドバイスや忠告をしてもらったり、だ。そして何よりの理由が、アーツを発動する際に消費されるEPにある。
 ナナシやレーメがアーツを使用する際、使用されるEPは俺のオーブメントに蓄積されているものから使用される。本来は1人で使用する物なのだ。平行利用するにしても、せいぜいが2人。3人でぶん回せば、あっという間にEPが尽きるのは目に見えているだろう。
 そんなわけで、それ及び前述のサポートをする理由により、ナナシは今までアーツを使ってこなかったわけなのだが。
 まあそんな長々とした説明はともかく。

(ナナシ、俺は別に何とも思ってないから、あの程度の事で怒るんじゃない)
(……解りました)
(……ふむ、では吾が……)
(レーメも!)
(…………むぅ)

 ふと気づくと、どうやら念話に夢中になっている間に、斑鳩達は一旦ものべーに向かったようだ。

「むかつくー。なにあいつ感じわるー」
「ごめんなさい、希美。彼女も悪い娘じゃないんですよ?」

 その際にタリアにきつい一言を残されたようで、永峰が不満を述べる声が聴こえ、それをミゥがフォローするも、今一納得がいかないようだ。
 まぁ、そのうち慣れるだろう。永峰も、タリアも。
 ……この先にあるレジアシスを落とせば、あとはグルン・ドレアス城砦都市を残すのみだ。
 斑鳩達が戻ってくるまでの間に、なんだかどっと疲れたように感じる精神を休めるため、俺はそっと眼を閉じた。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/06/03(日) 08:10:24|
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