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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

永遠神剣之章:96.理想幹、決戦。

「我等が計画のためにイレギュラーは排除する……消えろ!」
 刺し穿ち、あるいは灰燼に帰さんと幾重にも襲い来る濃密な攻撃。
 エデガが放つ根源力マナによって“剣”の形に形成された魔弾の雨。それが途切れ、次を放つまでの僅かな隙を、ノル・マーターの砲撃が、ミニオンの神剣魔法が埋め潰す。
 常であれば塵すら残らぬであろう猛攻が、ただ俺一人へと降り注いで来る。
 ミニオンの中にすら、接近して直接的に攻撃して来る者が居ないあたり、この攻撃の苛烈さを察せられるだろう。だが──

「こ、の……化け物がああぁぁぁあーーーー!!」

 周囲に響くのは、逆に追い詰められたかのようなエデガの叫びと、俺の周囲に落ちた敵の攻撃が奏でる炸裂音のみ。
 さもありなん。前述の彼等の攻撃は全て──俺に当たる側から“鞘”へと納められ、掻き消えているのだから。とは言え、アネリスが言うにはエデガが創るマナの剣が、神剣までとは言わずとも、もっと明確に物質化していたら納めるのは無理だったようだが。……それにしても、何と言うかなぁ。

<やれやれ、ひとを捕まえて化け物呼ばわりとは……失礼な奴じゃな>

 憤然とした声音で文句を言って来たアネリスへ「まったくだ」と返しつつ、周囲にて戦う仲間の様子を伺う。
 今現在敵──ノル・マーターとミニオン──の攻撃の多くは俺に集中している。と言うのも、戦闘開始直後は誰彼構わず満遍なく攻撃を振り分けていたエデガなのだが、エデガの攻撃──マナを剣へと変えて射出する奴だ──が俺に当たるもまるで効果が無かったのを見たその瞬間から、エデガの命によりミニオンやノル・マーターが攻撃を集中しだしたのである。
 恐らくは、先程……戦闘開始前に奴にしてみれば“不遜な”言葉を吐いた俺が、奴の攻撃を受けて尚平然としていたからプライドにでも触ったのだろう。
 だが残念ながら奴と対峙しているのは俺のみに在らず。
 今現在、敵の攻撃の多くが俺に来ている間に、ミゥ達やカティマやヤツィータ達が着実にその数を減らして行っている。いくらミニオンやノル・マーターが精霊回廊などを媒介に量産できるとは言え、流石に今の戦闘中には無理であろうから、この猛攻が終わるのも近いと思われる。
 ちなみに幾らアネリスが現在弱体化しており、かつ『神名』の影響もあるとは言え、ミニオン程度の攻撃であれば彼女の限界には程遠いので安心、だそうだ。
 その上“鞘”に納める側から、ある程度の必要な分を残してマナに還元し、自身の力にしているというのだから……むしろ敵の攻撃が続けば続くほどにアネリスの力が増していくという堂々巡りである。
 ……さて、俺も何時までもこうしているわけにも行かないな。

(行くぞ、ナナシ、レーメ)
(イエス、マスター)
(うむ、心得た)

 数日前に時深と戦った時の様に、自身に『戦いの歌』とアーツを重ねがけしながら、“鞘”に納められた数多の攻撃の中から緑マナのみを槍の形で・・・・抜き放つ。
 繰り出すは……突き貫く雷光の一撃!

「紫電一閃……『ライトニングフューリー』!!」
「ぬ、う、おおおおお!!」

 神速の踏み込みによる刺突は、避ける間も無くエデガを刺し貫く……はずであったが、エデガの眼前に展開された方形のマナ障壁に触れるや否や、突進の勢いも衝撃も何もかもを掻き消すようにゼロにされた。
 その直後、俺に向けてエデガの周囲に居たミニオンが直接攻撃にて襲い掛かってくるのが視え、予想外の展開につい「ちっ」と舌打ちしつつ、後ろに跳んで再度エデガから距離を取る。
 ……やれやれ。それにしても、今のインパクトの瞬間、エデガの張った障壁が、一瞬青と緑に明滅した気がするんだが……。
 確かめておくべきか、と、自身を覆う様にマナ障壁オーラフォトンバリアを展開すると共に、背後にノーマの本体を顕現させる。
 グルァっとノーマが一吼えすると、更に強化される俺の視界。
 それはエデガの張ったマナ障壁を、それを構築するマナの色も、姿も俺のこの眼に映し出す。
 案の定と言うべきか、それは先程の光景と同じ様に青と緑に明滅し、マナが循環しているのがわかる。それを先程の攻撃のと照らし合わせれば結論は明白……なるほど、特定色の攻撃を無効化する『プロテクション』効果を持った防御スキル、か。
 そう判断し、背後のノーマを意識下へ戻し、手にしたマナの緑槍を『調和』の“鞘”へ戻してマナに還元したところで、それまで黙っていたアネリスが語りかけてきた。

<……時に祐よ。ぬしは先程、何をした?・・・・・

 また曖昧な質問だな、と返すと、彼女は「ふむ」と呟いたあと、

<……妾の力、其れは己が内に納めた攻撃を“剣”へと成すもの。だが、ぬしが先程抜き放ったモノはその形状を“槍”と成した。恐らくはより刺突の効果を上げるためでは有ろうが……>

 その言葉で成程、と合点が行った。それと同時に自分が如何に彼女にとって“非常識なこと”をしたのかも。
 アネリスがそう、納めた力を“剣”と成す、と言い切るって事は、それは彼女の神剣としての本能に刻まれた在り方なのだろうから。けどなぁ……。

(……アネリスの言いたい事は解った。けど俺としては“いつも通り”やっただけなんだよ。ほら、マナって本来不定形だろ? で、『観望』で武器を形状変化させていたからさ。ついその感覚で……)
<……ふ……くふっくふふふ、はははははははっ!!>

 言い切る前に脳裏でアネリスの何とも楽しそうな声が響き渡る。流石に煩いぞ。そう文句を言ったら、「いや、済まぬ」と返って来た。

(一体何だよ、急に?)
<……何、愉しく、嬉しいものじゃと思うての。そう、妾のしらぬ自分わらわを引き出してくれる、担い手ぬしと言う存在が>

 優しげで、楽しげで、そして嬉しそうなアネリスの声音に「そっか」と思わず頬が綻びそうになった所で──。

「……試してみるか」

 そんなエデガの声が聞こえ、割いていた意識を向けると、ピタリと遠距離攻撃が止んで奴の周囲に居た数人のミニオンが、その手にする神剣でもって直接斬りかかってきた。
 ……ようやく気付いたか。
 そう思いつつ“鞘”から右手に蒼剣を、左手に炎剣を引き抜き、襲い掛かってきたミニオン達を切り伏せる。それを見たエデガは我が意を得たりとばかりにニヤリと笑った。

「なるほど。貴様に行うべきは物理的な攻撃であったようだな……行けい!」

 その号令と共に、エデガの周囲に居たミニオン達が一斉に俺に襲い掛かって来る。その数は10。ノル・マーターは基本的に遠距離攻撃しか持たないらしいのか、そのターゲットを俺以外に変えた様だが。

「我々に逆らった罪は万死に値する。楽に死ねるなどと思うな!」

 そしてミニオンに遅れること少し。エデガの背後に顕現した奴の神獣──鉄の兜でその頭を覆った、四本腕を持つ赤銅色の肌の半裸の偉丈夫──が、そのそれぞれの腕に持った武器を振り上げながら向かってくる。

「全能のパーサーよ、そのイレギュラーを細切れにしてやれぃ!」

 ああ、そんな名前だったな。
 何てことを考えながら、先に俺に肉薄しようとしているミニオンへ向け、手の中の双剣を構え──その瞬間、横合いから飛び込んでくる赤い影。
 それは両手に持った二本のバズソーを炎に包みながら、ミニオン達の隙間を駆け抜け、斬り捨てていく。

「ワゥ! 余り一人で突出し過ぎないの!」

 そう言いながら次いで飛び込んできたミゥは、ワゥが一太刀入れた敵を『皓白』で打ち据えて確実に倒していき、その間にも周囲の様子を伺いながら、そのマナを高めていく。
 そしてその高まりが最高潮に達したところで、ミゥはそれを解き放った。

「光よ! 『スカイピュリファー』!!」

 広範囲に広く淡く広がった白きマナは、多数のミニオンやノル・マーターへ閃光と衝撃を与えると共に、それらと戦っている仲間達へは傷を癒し、回復させる癒しの光となって恩恵を与える。
 ……じゃあミニオン達はミゥとワゥに任せて、俺はパーサーに。
 と思って目を向けた所で、その全能のパーサへ向かうルゥとゼゥ、ポゥの三人の姿が。

「征くぞ、ゼゥ! ポゥ!」
「はい、ルゥ姉様!」
「了解です、ルゥ姉さん!」

 一気に距離を詰めてくるルゥに対して、パーサーはその手に持った武器の一つを振り下ろす。
 が、ルゥはそれを見切って躱し、次いで振り下ろされた剣を『凍土』でもって受け止める。
 そこに襲い来る残る二本の腕。それはポゥが濃密な大気の壁アキュレイトブロックを持って受け止め、その隙に肉薄したゼゥが、本体よりも多少は劣っているとは言え、『観望』によって強化された俺の視力を持ってしても僅かしか見えない程の剣速でもって連撃を放つ。それは正に、受ける事すら叶わぬ不触之剣フレズノケン
 そしてそこに重ねるように、彼女のマナが爆発的に膨れあがり、炸裂する。

「闇に沈みなさい! 『シャドウストーカー』!!」

 その瞬間、パーサーを、そしてその周囲にいたミニオンを、ノル・マーターを、虚空から“闇”が染み出し、“爪”となって斬撃を繰り出し、切り裂いていく。
 そしてそれに耐えた者が、技を撃ち終えた後のゼゥに対して神剣魔法を繰り出そうとしているのが見え──ちっ!
 内心舌打ちしつつ、ゼゥを庇おうと足を一歩踏み出したところで、パーサーと切り結んでいるルゥがチラリとこちらを向いて、小さくかぶりを振った。
 放たれる神剣魔法。
 だが、それに被せるように、ルゥがマナを解放した。

「凍てつけ! 『メガバニッシャー』!!」

 ルゥから『凍土』を介してマナが爆発的に流れ、膨れ上がるのが視え、次の瞬間──この理想幹中枢そのものが凍結したと思えそうなほどに、広範囲に凍気の嵐が吹き荒れる。
 それはゼゥに神剣魔法を放とうとしていた敵のみならず、少し離れた所に居た敵すらも凍りつかせ、放たれた魔法をも打ち消バニッシュして行く。
 どうやらエデガは『プロテクション』によって耐えた様だが、ナルカナや世刻と対峙しているエトルはたまった物じゃないだろうな。
 それにしても何と言うか……解ってたことだけどこうして改めてみると、頼もしすぎるよなぁ、5人とも。
 何にせよ、このままじゃ俺の出番が無くなる。
 と言うわけで俺はエデガに……と思った所でナナシが一言。

「マスター、売り切れです」

 え? と思って目を向ければ、いつの間にやらエデガと対峙するユーフィー。
 ユーフィーなら大丈夫かな、とは思うが、エデガには『プロテクション』効果のあるブロックスキルがあるんだよな。
 せめてそれを伝えないと、と思ったたところで、

「最大の力を、最高の速度で…… 最善のタイミング!!」

 斬り上げると共に跳躍し、次いで振り下ろされた『悠久』の一撃はエデガのブロックを軽々と貫き、

「ゆーくんを甘く見たら痛い目に遭いますよ。飛んでけーっ!」
「ぐおおおおお!!」

 放たれた『ライトバースト』によって閃光と衝撃を喰らったエデガの苦悶の声が響く。
 どうやらユーフィーの攻撃はプロテクションし切れて居ないらしい。……と言うか、白属性のプロテクションは持っていないようだ。
 エトルの方は……前述の通りナルカナと世刻、永峰が当たっており、その周囲の敵はヤツィータとナーヤが全体を指揮しながら掃討に掛かっていて。
 怒り心頭のナルカナ相手に良くやっているとは思うけど……ありゃもう終わるな。

<……ふむ。主様の出番は最初だけだったようじゃな>

 ポツリと言われたアネリスの台詞が心に突き刺さった。
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  1. 2014/09/07(日) 17:28:19|
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