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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

永遠神剣之章:14.防衛、アズラサーセ。

 俺達がカティマに追い付いた時、彼女は丁度鉾の大軍に向かって斬り込もうとしている所だった。

 無論、むざむざ死地へと向かわせる訳にはいかない。
 自身を卑下するような事を呟いていたカティマに、否定の声を掛けると同時に『コキュートス』をぶちかまし、姿を現した俺達に対し、カティマは呆然とした声を上げる。

「何故……祐がここに?」
「付けてきた」

 そんな彼女に「気負うなよ」と言う想いを篭めて、なるべく軽く声を返すと、カティマはえっ? と驚いた顔をした後、

「……皆に内緒で出てきた以上、周囲には充分気を配って居たつもりなのですが」

 と苦笑交じりに言った。
 さらに言葉を重ねようとするカティマに対し、「まあ待て」と押し止める。今はそんな事を言ってる場合じゃないんだし。
 カティマは「そうですね」と頷くと、鉾を警戒しつつ俺達と鉾の間に立ち、俺達に背を向けたまま声を投げかけてきた。

「祐、ここは危険です。すぐに逃げてください」

 一瞬、彼女の言葉を疑う俺。
 いやだってそうだろう。この場に現れた時点で俺達の意図など解ろうと言うに……と、その時点であの時……カティマの後を追い始め、ルゥが追いついてきた時のことを思い出した。

「あ~……うん、なる程。ルゥ……ルゥの気持ちがよく解った」
「ふむ。解ってもらえて何より。キミも彼女も、もう少し仲間を頼るべきだ」

 ルゥに「やれやれ」とばかりにそう言われ、今のやり取りで俺がルゥにカティマと同じような事を言ったのが解ったのだろう、苦笑いを浮かべるカティマに、肩をすくめて見せる。

「ま、そんなわけだから、俺じゃあ頼りないだろうが、一緒に戦わせてもらうぞ。そのために来たんだしな」

 そう結論を述べてから、カティマとルゥ、そして自分が入るように、範囲型の攻撃力上昇アーツ[ラ・フォルテ]と防御力上昇アーツ[ラ・クレスト]を掛ける。

「……感謝します、二人とも……っ! はぁ!」

 それに対して礼を言ってきたカティマは、流石に業を煮やしたか、会話の隙をついて斬りかかってきた鉾2体を気合一閃に斬り飛ばす。

「後で独断先行で動いた事は怒るから、気にするな。直に世刻達も来る。どうせならそれまでに片付けるぞ!」
「ふふっ……お手柔らかに。……カティマ=アイギアス、参る!」

 それが戦闘開始の合図となり、俺達は鉾に対して斬り込んでいった。
 それにしてもまぁ……“世刻達が来る”と言った途端に、嬉しそうな顔しちゃって。
 確かに俺なんぞと比べて、実力も信頼度も有るんだろうが……流石にちょっと悔しかったりするのはまぁ、仕方ないだろうか。



……
………


 戦闘開始からどれほどの時間が経っただろうか。
 まったくもって、凄まじい。
 それが、ひしめく敵の只中を当たる側から一刀の元に斬り捨て、駆け抜けるカティマを見た俺の感想だ。これが正に、神剣使いの本気って奴なんだろう。
 ……いや、まだ神剣からギリギリまで力を引き出しているわけじゃないだろうから、もっと上があるのか? ……いやはや何とも。

「むっ……祐、後ろだ!」
「……っと、すまん。大丈夫か?」

 カティマの様子を伺いながら戦っていた俺に飛んできた、敵の槍をブロックしてくれたルゥへ回復アーツ[ティア]をかける。

「うむ、助かる」

 いえいえこちらこそ、と返しつつ、近くの鉾にまとめて範囲アーツをぶち込み、再度カティマへ眼をむける。
 まだまだかなりの多勢に無勢だが、何とか持ちこたえられてはいるが……どうやら敵さん、カティマが『カティマ=アイギアス』であるからか、それとも彼女の方が脅威であると感じたのか、もしくはその両方か。カティマの方へ集中し出しているようだ。
 その分こっちはさっきよりは楽とは言え……それでもまだまだ敵の数は多い。

(レーメ、『クロックアップ改』をカティマに)
「『シルフェンガード』!」

 そろそろ切れそうな雰囲気の補助アーツを掛け直し、すぐに援護に入れるよう、ルゥとカティマの状況に注視する。
 ……カティマが着実に敵を減らしているとはいえ、このままでは下手をすればジリ貧か。
 少なくとも……如何に『機構2』によって少しずつ回復するとは言っても、攻撃アーツは控えなければ、EPは持たないだろうな。
 ……直接戦う力が、欲しい。
 ──っ!
 一瞬、耳鳴りにも似たキィンと言う音が頭に響き、集中が途切れる。
 何だ、今のは?
 頭の中に直接干渉されるような──大きな力に“観察”されているような、妙な感覚と気配。……いや、今は気にしても仕方ないか。
 余計な思考を振り払うように、一度頭を振って仕切り直す。
 ……無い物を欲しても仕方が無い。今は目の前の事に、集中しろ!

(レーメ、アーツは回復と補助に回して、攻撃は『魔法』でやるぞ。いけるか?)
(問題ない、行けるぞ!)

 レーメのお墨付きに、俺は魔法発動体の代わりにしているオーブメントを構える。
 今のところ、せいぜいが『魔法の射手』ぐらいしか使えないが、それでも俺にとっては貴重な攻撃手段である。
 一応補足しておくと、アーツに必要なEPは、オーブメントにて生成・蓄積され、それを消費して行使されるため、魔力を直に使う『魔法』とは別に使用できるのだ。

「イン・フェル レイ・ウィル インフィニティ……氷の精霊20頭・集い来りて敵を切り裂け! 魔法の射手・連弾・氷の20矢!!」

 詠唱を終えた瞬間、氷で出来た矢が鉾達へ向けて降り注いだ。
 その時、再びキィンと、耳鳴りのような感覚を感じたが、もう一度頭を振って振り払った。
 その後も、何とか順調に戦い続け、あともう一息と言ったところで斑鳩達が追いついてきて、彼女等の姿を認めた瞬間、一瞬目の前が暗くなり、ふらりとした。
 …………っ、まだ終わってない、気を抜くな。
 そう言い聞かせ、再び鉾達へと視線を向けるのと同じくして、斑鳩達が戦列に加わった。

「祐、沙月達が参戦した。もう大丈夫だから、先に休んだ方がいい」

 恐らく今俺がふらついたのを見られたのだろう、ルゥがそう言ってくれる。
 ありがたい、けど、我ながらまったくもって情けない。
 ふらついた原因は解ってる。長時間の戦闘に加えて、初の実戦での『魔法』の使用。何のことはない、体力と魔力、精神力の低下だ。
 もう一度、カティマ達の様子を見る。……うん、敵の数はもうわずかだ。確かにもう平気だろう。

「じゃあ、お言葉に甘えて……ルゥ!!」

 休ませてもらおう、そう言おうとルゥの方を見た時だった。彼女の背後から、一体の鉾が斬りかかろうとしているのに気づいたのは。
 咄嗟に彼女を押しのけ、

「魔法の射手! 闇の5矢!!」

 詠唱破棄で『魔法の射手』を放つ!
 鉾は咄嗟の攻撃に反応できず、俺の魔法に貫かれて粒子と化していった。
 ……っていうか、咄嗟に詠唱破棄なんて良く出来たな、俺。火事場のなんとやらってやつだろう……けど……。

(……悪い、今のが止めだ……限界)

 詠唱破棄は、しっかりと詠唱して放つものよりも当然の如く扱いが難しく、比例して魔力消費も大きくなる。
 つまり、急速に意識が遠くなっていくのは自明の理であり、それを感じつつ、なんとかナナシ達に念話を送ったところで、俺の意識は途切れた。
 ……まぁ、ルゥを助けられただけ良しとしようか。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/05/28(月) 02:45:55|
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