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夢幻の残響

二次創作なんかを書いてみたり。

序章:転ばされた、ただでは起きぬ。

 神様って、本当に居るんだなって思ったのは……死んだ後だった。

 俺の前には今、腰まで伸ばした綺麗な黒髪の、とても可愛い女の子がいる。
 深々と頭を下げて。

 女の子曰く、ここは生と死の狭間。

 女の子曰く、自分は神様……見習い。

 女の子曰く、あなたは私の手違いで死んでしまった。

 女の子曰く、正規の手続きを踏んで死んだわけではないので、天国にも地獄にもあなたの行き場がない。

 女の子曰く、間違って死なせてしまった事がバレると、正規の神様になる昇格試験に落ちてしまう。

 女の子曰く、だからどうかこの事は内密に。

 俺曰く、フザケルナ。



「……第一、手違いって何よ手違いって? 間違って『死なせてしまう』ような手違いなんてあるのか!?」

 『生と死の狭間』と称された空間に、俺の怒声が響く。
 冷静に考えてみれば仮にも『神様』と名乗る相手に対する言葉遣いじゃないような気がするんだが、“間違って”死なせてしまった、なんて言われてしまっては、俺の口調が荒くなるのも致し方のないことじゃないだろうか。
 とかく、そんな俺の言葉に、神様(仮)は酷く言いづらそうに口ごもった。
 そんな彼女の様子に、俺の胸中には、なんだかすごく嫌な予感が渦巻く。もういっそのこと理由とか聞かない方がいいんじゃないだろうか、なんて思ってしまうような、嫌な予感。
 とは言えやはり自分の死因ぐらいは聞けるのならばはっきりさせておきたい、と気を取り直し、しばらくじとっと見つめていると、神様(仮)はようやく観念したかの様に口を開いた。
 
「その…………死者を選別する実習の最中に、居眠りしてしまいまして……」

 ……ちょっとまて。

「…………あ~…………すまん、もう一度言ってくれるか? どうも死んだせいか耳がおかしくなったらしい。今、『居眠り』って聴こえたんだが?」

 思わず耳を疑った俺に対して、彼女は非常に申し訳なさそうな、と言うか、心苦しそうな、と言うか、どこかビクビクとした様子で俺の表情を伺う。
 ……どうでもいいんだが本当に神様(仮)か、この娘?
 自分が“死なせた”とは言えただの人間に対して余りに低姿勢な目の前の女の子の姿に、根本的な部分を疑いそうになってしまいそうになっている俺の思考をよそに、神様(仮)はおずおずと再び口を開く。

「……居眠りして、選別を間違いました……」
「…………どこの世界にそんな大事そうな仕事の最中に居眠りするやつがいるんだよおい。そもそも居眠りは手違いとは言わねえええ!!!」」

 聞き返したところで言葉の内容が変わらないのは解っている。解ってはいるんだが、その余りの理由に思わず絶叫するように声を荒げた俺に対して、彼女はびくりと肩を震わせ、最早半泣きになりながらその“居眠り”の理由をぶっちゃけた。ぶっちゃけてくれやがった。

「ごめんなさいいいぃ!だって昨日の深夜ドラマが面白かったんですよおおお!!!」
「居眠りの理由が言うに事欠いて深夜ドラマだとオイ!?」

 その後も、許してください! いいや許さん! と言い合う俺達だったが、最終的に神様(仮)の「生き返らせる以外なら何でもするから許してください」の言葉で、一応の決着を見た。
 ……神様のクセに弱いなって?
 途中、強気に出てきたんだが、試しに大声で「この神様(仮)の上司のひとー!」って呼ぼうとしたら、慌ててさっきの台詞を吐いたんだよ。
 あとは彼女曰く、「多神教の下っ端神様なんて所詮の程度です……」だそうだ。


 さて、「何でもする」との言質を取ったからには、何をしてもらおうか?
 ……ちなみに、「何故生き返らせるのはダメなのか?」と訊いたところ、「生き返らせたら、間違って死なせたって言ってる様なものじゃないですか!」とキレられた。
 ……まぁいい。
 さて、生き返れないのであればどうしたものか。正直、俺はまだ死にたくない。いやもう死んでるけど……いやようするに、もっと生きたいわけだ。
 …………と、そこで俺は思い付いた。いや、思い出したといった方がいいか? ……まあとにかく、生前よく読んでいた、所謂二次創作の事を。

「よし決めた! 俺をマンガとかゲームとかの、好きな世界に転生させてくれ。なんか超すごいパワー盛り沢山で」

 二次創作、と言ってもその種類は色々、内容とてピンからキリまである。読む立場であったときには、度の過ぎたチートは敬遠したかもしれないが……実際に自分が転生するとなれば、それはそれ。
 ……だったのだが、そんな俺の提案に、神様(仮)は申し訳無さそうに、

「あの……転生と能力付加は良いのですけど、転生する世界は選べませんよ? あと出来れば具体的な能力を言ってください……それと、数も……5個……ぐら……ひぅっ! 未熟でごめんなさいぃぃ!」

 きっと聴いてるうちに、相当いやな顔になったんだろう、俺の顔をみて、言い切る前に謝る神様(仮)。けど、そんなに怯えるような顔してたんだろうか、俺。
 ……それにしても5個か。どうしたものかね。

「……あの……さっきの発言を取り消すことは……」
「却下」
「うぅ……」

 それならばと、俺は体感で小一時間程考えるに考えたのだが……出た結論は、色々思いついたけど絞り切れないので、取り敢えず押し切ってみようだった。
 酷いなって? そう言うなよ。とりあえず言ってみるだけならタダなんだから。

「決めたぞ。いいか……? パッシブスキル、アクティブスキル、アイテム、基本設定をそれぞれ5個ずつだ。まず……」
「ちょ、ちょっと待ってぇぇ!! それぞれって何ですか、それぞれって!それじゃあ合わせて20個じゃないですかぁ!」
「良いだろ、それぐらい。大別したら5個どころ4個だし、それぞれの内容も5個に抑えてるし」
「良い訳ないじゃないですかぁ! 第一アイテムとか基本設定って何ですか、能力じゃないですよぉ!」
「細かい事は気にするな!」
「細かくないいぃぃ!!!」

 ……その後、喧々囂々のやり取りの末、能力の内容は二人で話し合って決める……と言う形で決まった。
 能力の数? ……大丈夫、きっと頑張ってくれる。
 神様(仮)曰く、スキルなんて長く旅していれば、色々身につきますよぉ! との事だったが、気にしない。

「…………何と言うか、そこはかとなく未熟っぷりが醸し出される能力になったが……仕方ない、ここは譲歩してやろう」
「……も、もしもの時の為に溜めていた神力が……」
「まぁ、俺と会ってしまったのがその『もしもの時』だったってことで」
「……ぅぅ……何かいい様に丸め込まれた気がする……」



……
………


 そして──

「それじゃ、転生先の世界に送りますね。
 先に言っておきますが、転生は当然産まれる所からのスタートなので、負担を避けるためにも物心が付くまではここでの記憶も有りませんし、記憶が戻るまで能力やアイテムも封印されていますから……」
「ああ。ま、前世の記憶があるだけでも御の字だと思っておいて、思い出したら色々試してみるさ。俺が言うのも何だが……これに懲りずに、正規の神様になれるように、頑張れよ」

 我ながら、お前が言うなと言いたくなる台詞だな。
 いやホント……我ながら意地悪というかわがままというか随分と無理言った気がするが。

「はい! ……何と言いますか、今まで生きてきた中で、一番濃い時間を過ごした気がします……。もう会うことはないでしょうが、お元気で」
「……ふむ。長い人生……神生? の中でも、俺とのひと時が最も濃いとは……光栄だとでも言っておく」
「長いって言うな!! これでも神の中ではまだ若いんです!」

 そんなやり取りに思わず噴出す俺達。
 ……なんだろう、こういったやり取りをしているうちに楽しくなってきている自分がいる。……どうにも憎みきれないんだよな、この娘。
 彼女は神様(仮)で俺が人間であった以上、どうしようもないと言えばそれまでなんだが、出会い方もう少し違うものだったらと思わずにいられない。
 彼女もそう思っている……かどうかは解らないけど、目が合った神様(仮)は一度深々と頭を下げると、その両の手のひらにまばゆい光が集まりだす。

「それでは、もう会う事も無いでしょうが、お元気で」

 その言葉と共に俺に向かって放られた光は、その輝きを増しながら、ゆっくりと近づいて来る。
 そんな中ふとある事に思い至った俺は「そういえば……」と口を開く。
 
「キミの名前、訊いてなかった」

 ……いや、ただの人間に名乗る名など無いのかもしれんが。だが、俺の言葉に、神様(仮)も「あぁ!」と言う顔をする。
 ……今の顔じゃ、単に忘れていただけなのか。まったく、最後の最後までどこか抜けた神様(仮)だったなぁ。……これから先、彼女は本当に大丈夫なのか心配になってきたじゃないか。
 浮かんできたそんな考えに苦笑を浮かべている内に、光は俺の中へと吸い込まれて行き……

「わ、私の名前は――」

 薄れ行く意識の中、慌てた様子で自分の名を告げる彼女の声だけが、俺の頭に響いていた――。



◇◆◇



『スキル』(パッシブ(P)=常時発動型、アクティブ(A)=任意発動型)

・魅了(P)
 種族や敵味方問わず、他人……特に異性に好かれやすい体質。効果は然程高くない……のだが、人外に対しては特に効果が高いという謎オプションが付いた。

・能力値限界突破(P)
 あらゆるステータスに限界が無い。……と思う程、伸びしろが有る。実際の限界値は不明。 無論伸びしろであるため、転生時の能力値は一般人と変わらない。

・多才(P)
 あらゆる物事に対して才能がある。
 無論才能があるだけなので、最初から上手く出来る訳がない。

・完全記憶能力(P)
 一度覚えた事は忘れない。でもきっと都合の悪い事はすぐ忘れる。
 実際には、脳の磨耗を防ぐために、不要な物から順次記憶領域の奥底に圧縮されていくため、それらを『思い出す』時には少々時間がかかる。

・見覚えの習得(P)
 見たり食らったりした技術や体術等を習得する。
 多才と完全記憶能力の効果の相乗により生まれたスキル。
 無論、使いこなすには要練習である。

・神の加護(P)
 転生自体に神の介入を受けているため、肉体及び魂に、意図せず神の加護を受けることとなった。
 ご都合主義的展開の時はこれが働いているかもしれない。

・直感(弱)(P)
 所謂『虫の知らせ』。

・ワールドゲート(A)
 世界を移動する為の扉を作る能力。但し、一度訪れ、ある程度滞在した事のある世界以外は、移動先の指定は不可。(ランダム移動となる)
 


『所有アイテム』

・オートチェンジャー
 他世界のお金を、現世界にて使用できる通貨に自動で換えてくれる財布。
 お金が無限に沸いて出てくるわけではない。

・箱舟
 持ち運び可能なサイズに圧縮された異空間領地。
 外での1時間に対して、箱舟内の経過時間を6時間毎に設定可能。(外界と同期、1時間=6時間・12時間・18時間・24時間)デフォルトは同期に設定してある。
 外見は、片手に収まる程度の水晶球。
 モデルはネギまのアレ。

・アルケミーストーン
 箱舟内に設置されており、魔力を通すと宝石や貴金属、鉱石、希少金属を生み出すことが出来る石。この場合の希少金属は、現代におけるレアメタルではなく、ミスリルやオリハルコン等、所謂魔法金属を差す。
 生み出す量は少量。箱舟内時間で24時間に一度しか使えない。



『基本設定』

・転生者は、常に付き従う2体のサポーターを持つ。
 サポーターの形状、性格、詳細な能力は、転生者による初期設定によって決まる。

・ワールドゲートによって世界から連れ出す相手には、「己と共に永久に歩む意思はあるか?」の問いを行い、相手の了承の言葉による魂の契約を行わなければならない。
 魂の契約が行われた場合、契約者の魂の保存が行わる。
 結果、契約者は転生者と同様、ワールドゲートを通過し他世界へ移動した瞬間に、出身世界より出た直後の年齢に、魂の復元が行われる事になる。
 その際、肉体状態等は最善の状態へと修繕・適用される。

・転生者の所有物は、任意にその所有権を譲渡しない限り、決して紛失することは無い。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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